猫が『お尻歩き』をしているときの原因4つ 異常があるサインかも?対処法も解説

猫が『お尻歩き』をしているときの原因4つ 異常があるサインかも?対処法も解説

猫が床にお尻をこすりつけながら進む「お尻歩き」。一見かわいらしい仕草のように思えますが、猫の体に何らかのトラブルが起こっているサインかもしれません。本記事では、お尻歩きが起こる4つの主な原因と、自宅でできる対処法、受診が必要なサインを解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.肛門腺がたまっている

お尻を毛づくろいする猫

猫のお尻歩きで最も多い原因が「肛門腺の貯留」です。

肛門腺とは、肛門の左右にある小さな分泌腺のことで、マーキングなどに使われる独特のにおいを放つ分泌液が溜まっています。肥満、高齢、分泌液の粘度の増加、運動不足などの条件が重なると分泌液が出にくくなることで肛門嚢にたくさんたまってしまうのです。

通常は排泄の際に便とともに少しずつ外に出されるものですが、過剰に溜まると違和感が強く出て、お尻を床にこすりつけることで排出しようとします。

このような場合は分泌液の貯留や貯留、つまりの原因となる炎症が進行している可能性があるため注意が必要です。

  • 肛門周囲が赤い
  • 腫れがある
  • 強いにおいがする
  • 触ると嫌がる

放置すると、痛みで元気や食欲が落ちたり、肛門腺が破裂してしまうケースもあります。

2.寄生虫(条虫)がいる

猫のお尻

「条虫(サナダムシ)」に感染し、肛門周囲にかゆみや違和感を引き起こすことでお尻歩きをするケースもあります。

条虫は便や肛門周囲に米粒のような片節がつくのが特徴で、これが猫に強い不快感を与えます。ノミを介して感染するため、完全室内飼育でもノミが家に入り込むと発症するリスクがあるため日頃からの注意が必要です。

猫がお尻をしつこく舐める、落ち着かずに動き回る、便に白い粒が混ざるといった症状は典型的なサイン。寄生している条虫の数が多いと、下痢や嘔吐、体重減少といった消化器症状が現れることもあります。

放置すると消化器への負担や肛門の炎症が長引くため、発見したらすぐに獣医師に相談しましょう。定期的なノミ予防も重要です。

3.皮膚炎・かゆみ

トイレに入る猫のお尻

肛門周囲の皮膚炎も、お尻歩きの原因としてよく見られます。

下痢や軟便が続いて肛門周りが汚れると、皮膚に刺激が加わって炎症や湿疹を引き起こすことがあるのです。特に汚れが付着したままでいるとかゆみや違和感が出やすく、お尻歩きで紛らわせようとします。

肛門周りの皮膚にトラブルが起きている時のサインは、

  • 皮膚が赤い
  • 毛が抜けている
  • フケが多い
  • 舐め壊している

などが見受けられます。

意外と見落とされやすい原因ではありますが、放置すると細菌感染や広範囲の皮膚炎、外傷に進行することもあるため、早期の洗浄や治療が必要です。

4.異物や便が肛門に付着している

お尻を毛づくろいする長毛猫

長毛種の猫に特に多いのが、便や猫砂が肛門周りに絡みついてしまうケースです。毛に絡んだまま乾燥すると強い異物感となり、お尻歩きで取り除こうとする行動が見られます。

便が硬すぎて少量ずつ残ったり、下痢で粘ついた便がこびりついたりするのも原因のひとつです。異物が付着したまま放置すると、皮膚炎、ただれ、細菌感染を起こしてしまう可能性があります。

予防のためには、こまめなブラッシングや肛門周囲の毛のカット、柔らかすぎず硬すぎない便を保つための栄養バランスを整える食事管理が大切です。猫のお尻が汚れたままになっていないか、1日の中で定期的にチェックをしましょう。

猫がお尻歩きをしたときの対処法

お尻の臭いを嗅ぐ猫

愛猫がお尻歩きしているのを見かけたら、まずは肛門周りの状態を落ち着いて確認しましょう。

確認の際は、以下のポイントに気をつけてチェックしてください。

  • 赤み
  • 腫れ
  • におい
  • 便や異物の付着
  • 米粒状の片節の付着

もし肛門腺のトラブルが疑われる場合、自宅で無理に絞るのは危険です。強い痛みを与えてしまったり、炎症や破裂を招いたりする可能性がありますので、必ず動物病院で処置してもらいましょう。

寄生虫が原因と考えられる場合は、動物病院に直近の便を持参して受診しましょう。いつから症状が出ているのか、お尻歩き以外に異変がないかも伝えることで検査の助けになります。

皮膚炎や異物の付着がある時は、肛門周りの洗浄や毛のカットで改善することが多いですが、赤みが強い場合には薬での治療をする場合もあります。

まとめ

子猫の後ろ姿

猫のお尻歩きは、肛門腺のたまり、寄生虫、皮膚炎、異物付着など、いずれも強い違和感を抱えているサインです。放置してしまうと、炎症悪化や感染につながることもあります。

特に赤み、腫れ、強いにおい、米粒状の片節といった異変や、繰り返す症状がある場合はできるだけ早く動物病院を受診しましょう。

お尻歩きは猫が発する「不快」のサインであり、繰り返す時は異常が起きている可能性が高いです。

早期に発見し、早めに診察を受けることが猫の負担を減らします。日々の健康チェックを怠らないようにし、健康を守っていきましょう。

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