ホテル火災で猫たちが閉じ込められた!

画像はイメージです
英国ウェールズ地方のブレナウ・フェスティニオグで、2024年7月に起きた奇跡をご紹介します。
このまちにあるQueens Hotelで支配人を務めるAngi Clintonさんは、建物の最上階にある専用居室に愛猫5匹とともに暮らしていました。
2024年7月の昼前、このホテルで火災が発生しました。従業員と宿泊客はすぐに建物から脱出することができましたが、5匹の猫は燃え盛る建物の最上階にある支配人用フラットに閉じ込められてしまいました。消防隊が必死の消火活動を行いましたが、火の勢いは止まりません。
Angiさんは「あれほどの火災では、猫たちは生き残れないだだろうと思いました。猫たちが外に逃げる姿も見えませんでしたから」と述べています。
消防隊員がなんとか部屋のドアを開けたとき、5匹の猫のうち4匹が腕の中にとび込んできました。どの猫も重傷のやけどを負い、煙を吸い込んで苦しんでいました。でも生きていたのです。
ところが残る1匹の猫Parker(7歳)の姿は、どこにもありません。やがて建物は全焼してしまったのです。
やけどを負い、煙を吸った猫を発見

画像はイメージです
Parkerは焼け死んでしまったのでしょう。Angiさんは「もう二度と会えない」と悲しんでいました。
ところが3週間半たったある夜、焼け落ちた建物の屋根のあたりで猫が目撃されました。「もしやParkerでは?」との希望が捨てきれない人々は、深夜に土砂降りの雨の中、協力して板で作ったスロープを登ってその猫を抱き上げ、なんとか保護しました。
確かに猫はParkerでした。痩せ衰え、煤まみれで煙の臭いを放っていましたが、生きていたのです。
「煤が体中にこびりつき、ひどい煙の臭いがしていたので、火災以来ずっと建物の中に閉じ込められていたことがわかりました。耳と肉球にやけどを負っていましたが、獣医は健康状態には問題がないと診断しています。この猫に必要なのは餌だけでした」とAngiさん。
「火事から生き延びただけでもすごいことなのに、その後数週間も鍵がかかって出口のない建物に閉じ込められて生きていたなんて、奇跡です。きっと屋根にあいた穴から流れ込んでくる雨水を飲んで、なんとか生き延びたのでしょう」
浴槽が小さな命を救ったか?

画像はイメージです
彼女は、浴槽の下に身を隠したことでParkerは火事を生き延びることができたと考えています。のちに火災跡を検分したところ、浴槽から猫の毛が見つかったからです。
Angiさんはこの奇跡の生存について執筆し、本にまとめました。その売上は火事で失った損害を補填するための資金にしたいと考えています。
現在、Parkerの体調は完全に回復し、体重も元に戻りました。でも火事以来、あまり人間から離れて出歩くことがなくなったといいます。やはりあの体験は相当怖かったのでしょう。
猫がもつといわれる9つの命。Parkerはそのうちの1つを火事で失ったに違いありませんが、残りの8つを大事にしながら、これからもぜひ楽しい猫生を送ってほしいものですね。