猫の首輪にカメラを装着

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米国ワシントン州シアトルに住んでいた茶トラ猫Cooperは、たぐいまれな才能をもっていました。それは写真を撮ることです。
飼い主のMichael さんとDeirdreさんの Cross夫妻は、日ごろから愛猫が近所で何をしているのか興味がありました。そこでCooperの首輪に小型デジタルカメラを取り付けてみたのです。週に1日だけこのカメラを装着し、2分ごとに自動で写真を撮るように設定しました。風雨からカメラを守るためプラスチックケースに入れ、専用のハーネスに取り付けたのです。
Cooperはカメラをまったく気にせず、まるで「プロのように」カメラと一緒に歩き回ったのでした。
すばらしい作品の数々

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2009年には、Cooperが撮り貯めた写真がシアトルで展示されました。なにせこの猫は1日に200~400枚もの写真を撮影していたのです。写っているのは人々の庭や賑やかな通り、美しい風景など、驚くほどすばらしいものでした。中には、長時間野鳥観察をしている写真も混ざっていました。
Cross夫妻が「猫カメラのスライドショー」と題したイベントを開催したところ、近隣の人々が集まっておおいに楽しんでくれました。地上15センチの高さから、猫が独特の視点で自分たちの家や庭を捉えていることに、みんな新鮮な驚きと魅力を感じたのです。
2009年の2月から3月にかけて、Cooperの最高傑作のいくつかが地元の美術館で展示され、作品はオンラインでも公開されました。同年9月から2010年4月までは、Cooperの写真作品がシカゴの自然博物館でも展示されました。
さらにこの猫は米テレビ局アニマルプラネットの番組「Cats 101」に出演し、2011年初頭には同チャンネルの「Must Love Cats: Cat-tographer」にも登場したのです。作品は広く販売もされ、収益の一部はシアトルの動物福祉団体PAWSに寄付されました。
虹の橋を渡ったカメラマン猫

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カメラを装着することで、意外な発見もありました。写真から、Cooperが何時間もドアの外で飼い主の帰宅を待っていたことがわかったのです。そこで夫妻は首輪に赤外線装置を取り付け、Cooperだけが自由に出入りできる猫用ドアを設置してあげました。
2008年から2009年にかけての真冬のある日、Cooperはカメラをつけずに帰宅しました。どうやらケースから落ちてしまったようです。すぐに代わりのカメラを業者に用意してもらい、撮影が続けられるようにしたといいます。
それから約3ヵ月後、近所の人が庭で見つけた以前のカメラを持ってきてくれました。これは修理されて再び使えるようになったといいます。「被写界深度」が浅い古いカメラのほうが、よい作品が撮れたのです。
2019年に15歳になったCooperは、腎臓を患うようになりました。翌年1月には病状が悪化し、残念ながら虹の橋を渡ってしまったのです。
Michael さんは「彼のユニークで社交的な性格は、周囲を魅了しました。この猫は家族の一員としてとても愛されました。写真撮影の冒険を続けながら、この世界を猫の目線で捉え、わたしたちに紹介してくれたのです」と語っています。