猫が『亡くなる直前』にみせる兆候5つ 限られた時間で飼い主ができることもご紹介

猫が『亡くなる直前』にみせる兆候5つ 限られた時間で飼い主ができることもご紹介

愛猫の命が尽きようとしているとき、残された時間を有意義に過ごしたい、そして愛猫が少しでも苦痛や不安を感じないようにしてあげたいと思う飼い主さんは多いでしょう。今回は猫が亡くなる直前に見られる兆候を知り、残された時間で愛猫にしてあげられることについて考えていきます。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫が亡くなる直前に見られる5つの兆候

鳴いている猫

愛する猫との別れは、いつか訪れる、避けることのできない瞬間です。その時が近づいていることを知るのは、残されたわずかな時間をより大切に過ごすためにも大切です。ここでは、猫が命を終える直前に見せる可能性のある、特徴的な5つの兆候について紹介します。

1.甘えるようになる

猫は亡くなる前になると、急に飼い主さんにべったりと寄り添ったり、ゴロゴロと喉を鳴らしたりして甘えるようになることがあります。これは、本能的に自分の弱さを感じ取り、最も信頼できる存在である飼い主さんに「そばにいてほしい」「助けてほしい」と思いながら安心や安らぎを求める行動だと考えられます。

普段、猫は痛みや不調を隠しがちですが、このときは飼い主さんのそばで心の安定を得ようとしているのです。こうした時間は、猫が最後に心を通わせる大切なひとときかもしれません。優しく撫でたり抱きしめたりして、安心させてあげましょう。

2.人目につかない場所にいる

猫は、体調が悪いときや弱っているときに、本能的に身を守ろうとして暗く静かな場所や、家具の隙間など人目につかない場所に隠れようとする習性があります。これは、外敵から自分の身を守り、回復に努めようとする本能的な行動です。

この兆候が見られた場合は、無理に引き出そうとせず、猫が選んだ場所を尊重して静かに見守ることが大切です。隠れている場所の近くに、水やご飯、トイレを用意してあげると、猫の負担を減らせます。

猫を移動させたい場合は、毛布やタオルでくるんで優しく運び、猫が安心して最期の時を過ごせるように環境を整えてあげましょう。

3.よく寝るようになる

猫は亡くなる直前になると、食事を摂らなくなり、毛づくろいをしなくなるなど活動量が減り、眠っている時間が長くなります。体力の低下や代謝の変化によって、少しの刺激でも疲れやすくなってしまうためです。普段より静かな場所を選んで休むようになることもあります。

体調不良を回復するために休んでいるとも考えられ、弱った体を守るための自然な反応とも言えます。

もし「最近よく寝るな」「目を合わせる時間が減ったな」と感じたら、猫が静かな環境で安心して過ごせるよう、そっと見守ってあげましょう。

4.大声で鳴く

猫が夜中や急に大きな声で鳴き続けるようになることがあります。この鳴き声は、普段の「ごはんちょうだい」といった要求とは違い、苦痛や不安、混乱から発せられていることが多いです。

特に高齢の猫の場合、認知機能の低下による見当識障害(自分がどこにいるかわからない状態)や痛みによる不快感から、パニックになり大声で鳴くことがあります。優しく声をかけ、撫でてあげる、抱き上げるなどして、猫の不安を取り除いてあげてください。

痛みが原因の場合は、緩和ケアを検討する必要もあります。獣医師に相談しましょう。

5.急に元気になる

体力が衰えていた猫が、死の直前になって一時的に食欲が回復したり、歩き回ったりと、まるで病気が治ったかのように急に元気を取り戻すことがあります。これは「中治り」や「ターミナルフレア」と呼ばれる現象で、体内に残っている最後のエネルギーを振り絞っている状態です。

この急な変化は飼い主さんにとっては希望のように感じられますが、その後に急速に状態が悪化することが多いです。別れが近いサインとして冷静に受け止める必要があります。

この束の間の元気な時間を、静かに猫と向き合う最後の貴重な時間として大切に過ごしましょう。

猫が亡くなるまでにできること

膝の上でくつろぐ猫

猫が亡くなる直前の兆候を見せ始めたとき、飼い主さんにできるのは、残された時間を少しでも快適で安らかなものにするよう環境を整えてケアを提供することです。

猫が隠れたがる場合は、上にも書きましたが、その場所の近くに水、トイレなどの必要なものを配置し、無理に動かなくてもいいように配慮しましょう。また、寒がっているようなら、タオルや毛布で優しくくるむなどして保温に努めます。

そして、飼い主さんがそばに寄り添い、優しく声をかけ「あなたは一人ではない」という安心感を与え続けることが、猫にとって最大の心の支えになるでしょう。ただし、ひとりで静かに過ごしたがる場合は、そっとしておいてあげることも大切です。

また、この時間は飼い主さんにとって、後悔のないお別れをするための大切な準備期間でもあります。

まとめ

ソファーで眠る猫

猫はお別れの時が近づくと、体や心にさまざまな変化が見られるようになります。急に甘えたり、人目につかない場所に隠れようとしたり、眠る時間が増えたりとさまざまな変化があらわれるでしょう。

愛猫に亡くなる前の兆候が見られたら、飼い主さんは心の準備をし、愛猫が少しでも安心して楽に過ごせるように寄り添ってあげてください。そして、愛猫がなにか望んでいるようでしたら、望みを叶えてあげてください。

また、お互いに後悔のない最期を迎えられるよう、事前に準備しておき、兆候が見られたらすぐに対応できるようにしておくことも大切です。

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