1.被毛ケアの回数

長毛種猫、短毛種猫のお世話で最も大きな違いは、被毛ケアの頻度です。
抜け毛が比較的少ない日本猫やアビシニアンなどの短毛種は、自身の毛づくろいである程度お手入れできるので、換毛期(春と秋)以外では、週に1~2回程度のブラッシングで十分に皮膚の健康を維持できます。
一方で、メインクーンやラグドール、ペルシャなどの長毛種は、少なくとも一日おき、とりわけ、抜け毛の多い換毛期には、毎日のブラッシングが不可欠です。
長毛種猫がブラッシングを怠ると、被毛が毛玉になりやすく、やがて、皮膚病などに発展する恐れもあります。さらに注意したいのは、「毛球症」です。
毛球症とは、毛づくろい時に飲み込んだ被毛が、胃や腸内で溜まり続ける病気で、放置していると、嘔吐や下痢などの症状が表れ、消化器系のトラブルを引き起こします。悪化すると手術が必要になったり、最悪の場合は、腸閉塞から死に至るケースもあるので要注意です。
また、長毛種猫では、足の裏毛、いわゆる「タフト」の処理も非常に重要です。足の裏毛を伸ばし放題にしていると、フローリングなどの滑りやすい接地面で転倒などの事故が起こりやすくなります。
足の裏毛カットは、月に1度がだいたいの目安です。初めて挑戦するときは、前もって愛猫にペット用バリカンに慣れてもらってからにしましょう。
自宅での処理が難しい場合は、猫も対応可能なペットサロンや動物病院に相談しましょう。
2.フード選び

2つ目の違いは、フード選びです。
被毛の長さにかかわらず、主食は総合栄養食(ドライ、ウェット)が基本ですが、短毛種に比べると、長毛種は毛球症のリスクが高くなるため、毛玉対策用フードを選んだほうが賢明です。
毛玉対策用フードの特徴は、食物繊維が豊富に含まれていることです。その含有率を見ると、一般的なキャットフードに対し、毛玉対策フードは約2〜3倍含まれています。
猫が食物繊維を多く含んだ毛玉対策用フードを食べると、便の性質を改善し、腸内のぜん動運動が促進され、体内に溜まった毛玉が便といっしょに排出されやすくなります。食物繊維には、セルロースやビートパルプ、サイリウム(オオバコ)、イヌリンなどがあります。
急に毛玉対策用フードに切り替えると、下痢や嘔吐などの症状を引き起こす恐れもあり、1週間から10日間ほどかけて、少しずつ新しいフードの量を増やすようにすることが大切です。
ちなみに、換毛期に限っては、短毛種猫でも毛玉対策用フードは効果的です。抜け毛で困っている飼い主さんは試してみてください。
3.部屋をキレイにする抜け毛対策

3つ目の違いは、掃除の仕方です。
短毛種猫の抜け毛は短く、部屋の片隅やカーペットに溜まりやすいのが特徴です。基本的には掃除機で対応できますが、カーペットにへばりついた抜け毛に関しては、粘着ローラーやゴム手袋を使うと、キレイに除去できます。
一方、長毛種猫の長い抜け毛は、ふわふわと宙を舞うため、カーテンレールの上や壁、エアコンのフィルターなどに付着しやすくなっています。部屋をクリーンに保つためには、通常の掃除に加え、空気清浄機の併用が有効です。
抜け毛対策の空気清浄機には、最大適用畳数(30分間の稼働で室内を清浄できる範囲)の約2倍の機種を選ぶことが大事です。微細なアレルゲンを99.97%以上捕集できるHEPAフィルター搭載モデルは集塵力が高いので、購入する際のポイントにしてみてください。
以上見てきたように、短毛種猫の抜け毛は、部屋の角やカーペットなどの低いところ、長毛種猫は、家具の上などの高いところに溜まりやすくなっています。
短毛種であれ、長毛種であれ、猫の抜け毛は花粉やホコリと同様に、アレルギーの遠因になることもあるので、日頃からこまめな掃除を心がけましょう。
まとめ

結論から言うと、長毛種猫、短毛種猫のお世話で大きく異なるのは、「被毛のお手入れの頻度」です。
短毛種猫は、換毛期を除いて週に1~2回ぐらいで間に合いますが、長毛種猫は、通常時でも最低一日おきのブラッシングが欠かせません。また、食物繊維が豊富に含まれる毛玉対策用フードも使うと、愛猫の健康維持にも役立ちます。
短毛種猫を飼う場合は低い場所、長毛種猫は比較的高い場所を重点的に掃除し、空気清浄機も上手に使って、飼い主さんは、清潔で健やかな環境づくりに努めてください。