猫の外耳炎の原因

猫の外耳炎(がいじえん)は、耳の穴~鼓膜にかけての外耳道に炎症が起こる病気です。
耳ダニの感染、細菌や真菌の増殖、食物等のアレルギー、アトピー性皮膚炎といった要因が関係しています。もともと耳道が狭い猫や皮脂分泌が多い猫、折れ耳の猫に起こりやすいですが、どんな猫でも発症する可能性があるものです。
特に耳ダニ(ミミヒゼンダニ)による発症が多く、多頭飼育の家庭や子猫によく見られます。
健康な猫だとしても、体質や湿気の多い環境などが発症の引き金になり、季節やストレスで突然悪化することがあるため、日頃からの耳チェックは欠かせません。
猫の外耳炎の症状

外耳炎の初期は、耳をよく掻いたり頭を振ったりするなど、かゆみを示す行動が目立ちます。この段階ではまだ見た目の変化が少なく見逃してしまいやすい状態です。
悪化していくと、耳の中が赤く腫れる、耳垢の量が増える、強いニオイが出るといった飼い主でも気づきやすい症状が現れます。強いかゆみによって頻繁に掻いてしまうことで、爪で耳を傷つけ、出血やかさぶたができる猫もいるほどです。
さらに炎症が深くなると触れられるだけで痛がるようになり、顔を傾けたりふらついたりする症状が出ることもあります。
軽い外耳炎でも油断すると慢性化しやすいため、小さな違和感でも早めの対策が必要です。
「外耳炎かも?」疑うべきサイン5つ

1.耳をしきりに掻く
外耳炎の最も典型的なサインが、耳を頻繁に掻くしぐさです。かゆみや違和感が強いほど掻く回数が増え、爪で皮膚を傷つけてしまうことも。特に夜間に落ち着かず掻き続ける場合は炎症が進んでいる可能性があります。
2.頭を振る・頭を傾ける
耳の内部に痛みや違和感があると、猫はブルブルと頭を振るようになります。また、片側だけに炎症が起きている場合、痛みや違和感が強いほうへ頭を傾けた状態でいることが多くなるので、普段と違う仕草が続くときは要注意です。
3.耳から強いニオイがする
耳の中にある耳垢に細菌や真菌が増殖すると独特のニオイが発生します。酸っぱい臭い、納豆臭、カビのような臭いなど様々ですが、健康な耳から強いニオイが出ることはありません。ニオイが気になる場合は、耳垢の色や量もあわせてチェックしましょう。
4.黒い耳垢・ベタついた耳垢が増える
耳ダニが原因の場合は黒いカサカサした耳垢が増え、細菌や真菌による外耳炎ではベタついた耳垢が出る傾向があります。耳掃除をしてもすぐに溜まる、量が急に増えた、耳だれがあるといった変化は外耳炎の可能性が高いサインです。
5.耳を触られるのを嫌がる
外耳炎が進行すると、耳に触れるだけで痛みを感じるようになります。普段は触られても平気な猫が急に嫌がる、逃げる、怒るなどの変化が見られたら、耳内部で炎症が起きているかもしれません。
外耳炎を防ぐためには

外耳炎を防ぐには、まず「定期的な耳チェック」が欠かせません。週に1回で良いので、耳の赤みがないか、耳垢の状態、耳のニオイを軽く確認するだけでも十分な予防になります。
猫の耳には自浄作用がありますが、状態チェックを兼ねた耳掃除も有効です。耳が立っている猫は月に1~2度、折れ耳の猫は汚れがたまりやすいので週に1度ほどを目安に、見えている部分の汚れを拭き取りましょう。
湿気の高い季節は特に汚れがたまりやすくなるので、除湿機やエアコンで湿度を整えると効果的です。
多頭飼育の場合は、耳ダニ感染拡大を防ぐため新入り猫の健康チェックを入念に行うようにし、アレルギー体質の猫がいる場合は食事や生活環境を整えることが健康維持につながります。
まとめ

猫の外耳炎は、耳ダニ、アレルギー、細菌や真菌などが原因で起こる身近な病気です。初期は軽いかゆみ程度ですが、放置すると掻き壊すほどのかゆみや痛み、悪臭、慢性化につながります。
飼い主が日常的に耳の状態を観察し、小さな違和感に早く気づくことで、猫の負担を大きく減らせます。適度な耳掃除や湿度管理、アレルギー対策を続けることで予防も十分可能です。
健康な猫でも突然発症するため、「いつも元気だから大丈夫」と思わず、こまめなチェックを習慣にしてください。
日々の小さな習慣が外耳炎予防の大きな力になります。愛猫の快適な毎日のために、今日からできるケアを取り入れていきましょう。