肥満猫が抱える健康リスク5つ

ぽっちゃりした猫は丸いほっぺやお腹のタプタプが可愛らしいですが、肥満の状態が健康への悪影響を及ぼすことは十分にあります。肥満猫につきまとう健康リスクにはどんなものがあるのでしょうか。
1. 関節や骨への負担が増える
体重が増えると、日常の動きだけでも膝や腰などの関節に大きな負担がかかります。また、加齢とともに関節炎を発症しやすくなることもリスクのうちのひとつと言えるでしょう。
肥満により体を動かしづらくなるため、歩くのを嫌がる、ジャンプをしなくなるなどのサインが現れます。そのまま放置していると運動量ががくんと減り、さらに太ってしまう悪循環に陥ることもあるため注意が必要です。
2. 糖尿病のリスクが高まる
肥満はインスリンの働きを妨げ、血糖値のコントロールを難しくします。正常な血糖値に戻そうとしてインスリンが過剰に分泌されるようになり、長期間続くと糖尿病の発症につながる可能性があるのです。
糖尿病になると多飲多尿・体重減少などの症状が見られます。一度かかると完治が難しい病気なので、日頃の予防が何より大切です。
3. 心臓や呼吸器への負担
体重が重くなると、心臓が全身に血液を送るためのポンプ機能を通常よりも強く行う必要があります。送る血液量も増えることから、大きな負担がかかり、心肥大や心不全のリスクが上がるのです。
また、胸まわりについた脂肪が呼吸を妨げ、ちょっとした動きでも息切れしやすくなることがあります。もし愛猫が軽い運動でも苦しそうにしていたら要注意です。
4. 肝臓へのダメージ(脂肪肝)
肥満猫は内臓脂肪が肝臓に蓄積しやすく、肝機能が低下する「脂肪肝」になりやすい傾向があります。脂肪肝は急な絶食や食欲不振が数日続いた時に発症し、黄疸や嘔吐、体重減少といった症状が現れ、ぐったりとしてしまう場合も。
放置していると命に関わることもあるため、食事がきちんと摂れているかをチェックし、2~3日食欲不振が続く場合は速やかに病院を受診しましょう。
5. 皮膚や被毛トラブルの増加
体が大きくなると自分で毛づくろいできる範囲が狭まり、毛玉・皮膚炎・体臭の原因になり、寄生虫感染のリスクも高まります。毛並みや毛艶も悪くなり、フケが増えるなど見た目にも分かりやすく現れるでしょう。
毛づくろい不足が見られたら、飼い主が積極的にブラッシングを行い、食事の栄養バランスの偏りがないか見直すことが大切です。
肥満が招く危険な病気

猫の肥満は単に見た目が変わるだけの問題ではなく、深刻な病気の引き金になります。
肥満が原因となる代表的な病気には、
- 糖尿病
- 脂肪肝
- 心疾患
- 呼吸器疾患
- 関節炎
などがあり、いずれも慢性的に進行しやすい厄介なものです。特に糖尿病は、一度発症すると治療のために毎日のインスリン注射が必要になります。
さらに、肥満によって免疫力が低下しやすくなり、感染症や体の炎症につながることも。少しの体重オーバーでも、内臓や関節には大きな負担がかかります。日頃から体重を定期的にチェックし、早めの対策を心がけることが大切です。
安全なダイエット方法とは?

猫のダイエットは「急激に減らす」ことが一番危険です。1週間で体重の1〜2%以上を減らすと体調不良を引き起こす恐れがあります。
まずは獣医師の指導のもと、カロリーコントロール食や減量用フードに切り替え、少しずつ食事量を調整しましょう。間食やおやつは控え、食事を1日数回に分けて与えると満足感を得やすいでしょう。
また、遊びを通した全身運動も効果的。短時間でもよいので、レーザーポインターや猫じゃらしで体を動かす習慣をつけるとストレス発散にもなります。
焦らず、数カ月かけて少しずつ理想体重に近づけるのが成功の秘訣です。
まとめ

肥満は「太っているだけ」で済まされるものではなく、猫の寿命を縮める重大な健康リスクを抱えさせてしまうことになります。関節や内臓への負担、糖尿病や脂肪肝などの病気を防ぐためにも、毎日の食事・運動・体重チェックが欠かせません。
飼い主の意識と少しの工夫で、猫は驚くほど健康的に変わります。日々の食事量や回数を見直し、遊びを通じた運動の時間を増やし、ストレスの少ない環境を整えることが愛猫の長生きにつながります。
生活習慣を見直すことは、愛猫とのコミュニケーションを深める機会にもなりますので、少しずつコツコツ肥満予防やダイエットに取り組んでいきましょう。