愛猫からアプローチしてくるのはどんなとき?

猫は縄張りを守りながら単独で生活をする動物なので、群れで暮らす動物と比べて社会性が低いというイメージが定着しています。しかし、猫に社会性がないわけではありません。野良猫は、子育てのために近縁のメス猫たちで協力し合うことがあるし、オス猫が子育てに参加する姿も確認されています。
では、猫から飼い主さんに積極的にアプローチしてくるのはどのようなときでしょうか?主に考えられるのは、下記のような状況です。
- 退屈している
- 気を引きたい
- 飼い主に信頼感を示している
- 飼い主に甘えている
- 母性本能から引き出される行動
これらの状況を思い浮かべながら、愛猫が飼い主さんのもとにおもちゃを持ってくるときの心理について考えてみましょう。
猫がおもちゃを持ってくるときの心理

1.一緒に遊びたい
猫は、家の中で自由に暮らしているケースが多いです。しかし基本的に、自分の意思で自由に食事(狩り)をしたりおもちゃで遊んだりはできません。そのため、飼い主さんの不在時間は退屈でつまらない時間を過ごすことになります。
仮に自由に持ち出せるおもちゃがあったとしても、飼い主さんがおもちゃを獲物のように操作しなければ遊べません。そこで、飼い主さんの家事や作業が一段落したり、帰宅するのを待っておもちゃを持っていき、一緒に遊ぼうと誘っている可能性が高いです。
2.獲物を安全な場所に移動したい
外で暮らしている猫は、自力で獲物を捕まえた後、安全な場所に獲物を移動する習性があると言われています。野生の大型ネコ科動物であるヒョウは木登りが得意なことで有名ですが、仕留めた獲物を安全な木の上に運び、そこで食事をすることが知られています。
このように、おもちゃを獲物に見立てて遊んでいた猫も、捕まえた獲物を安全な場所に移動させたいと考え、最も信頼できる飼い主さんのもとに持っていった可能性も考えられます。
3.捕まえた獲物を自慢したい
飼い猫にとって、飼い主さんは親猫のような存在です。そのため、飼い猫はいくつになっても子猫気分の抜けないところが残っています。そのため、狩りごっこで捕まえた獲物を親である飼い主さんに自慢しようとして持ってきた可能性も考えられます。
4.獲物を捕まえられない飼い主への教育
飼い猫はいつまで経っても子猫気分が抜けないものの、成長すれば母性本能が芽生えるのも事実です。つまり、猫はおとなの猫、子猫、親猫などの複数の気分がその都度入れ替わって暮らしているのです。
親猫気分のときは、実際の親猫と同様に、捕まえた獲物(おもちゃ)を差し出して、「狩りのコツはね…」などと教えるような仕草を見せてくれているのかもしれません。
5.飼い主へのプレゼント
獲った獲物の自慢や教育ではなく、いつもお世話になっている家族や仲間としての飼い主さんへのプレゼントだという説もあります。信頼し、深い愛情を寄せている飼い主さんへの、愛情の証としてのプレゼントなのかもしれません。
おもちゃを持ってきた猫への理想的な応え方

筆者は留守にすることが多かったこともあり、普段おもちゃは猫が開けられない引き出しの中にしまっていました。そのため、愛猫がおもちゃを咥えて持ってくることはあまりありませんでした。
しかし、おもちゃをしまってある引き出しを覚えていて、遊びたくなると引き出しの前に行き、取っ手に前足をかけながら筆者に向かって鳴き声で呼びかけてくることが多かったです。このことからも、猫は飼い主さんがおもちゃを操って一緒に遊んでいることを認識していて、「一緒に遊ぼう!」と働きかけることがあるのは間違いないでしょう。
愛猫がおもちゃを持ってくる心理には、ご紹介したような複数の気持ちが考えられますが、いずれにしても、ポジティブな反応を返すことが好ましいでしょう。時間に余裕があるときには、ぜひおもちゃで一緒に遊びましょう。時間がないときでも、「ありがとう!」とポジティブな反応をしながら、おもちゃを受け取りましょう。
しまっておいたおもちゃを持ってきてしまった場合でも、叱るのはよくありません。外に自由に出られるような生活をしている猫の場合、本物の獲物を持ち帰ることがありますが、その場合も叱らずに受け取り、猫が見ていないところでそっと片付けるようにしましょう。
まとめ

愛猫のおもちゃをどのように管理されているかによっては、愛猫がおもちゃを持ってくるシーンがあまりないご家庭もあるかもしれません。しかし、投げたおもちゃを追いかけて咥え、飼い主さんの元に戻っては「もう1回!」と催促する猫もいるでしょう。
おもちゃを持ってくる場合の猫の心理としては、一緒に遊びたい、自慢、教育、プレゼントなど、複数が考えられますが、いずれの場合も飼い主さんと積極的に触れ合いたいという気持ちが表れています。
くるくると変化する愛猫の「気分」も考えながら、上手に愛猫との仲を深められるような対応をして、家族の絆を深めましょう。