猫が必要とする『パーソナルスペース』はどのぐらい?快適な距離感を保つためのポイント5つ

猫が必要とする『パーソナルスペース』はどのぐらい?快適な距離感を保つためのポイント5つ

愛猫とは、普段どのくらいの距離で過ごすことが多いですか?べったりと接近していますか、見えるけれども少し離れた場所ですか、それとも隠れていることの方が多いですか。猫にも、人と同じように相手に対して安心して付き合える距離感(パーソナルスペース)があります。猫が必要とするパーソナルスペースの目安や、快適な距離感で過ごすためのポイントを解説します。

一定ではないパーソナルスペース

離れた場所で見つめ合う猫たち

パーソナルスペースとは、自分の体を基準にして、他人にそれ以上近寄られると不快に感じる空間領域のことです。心理的な距離感に使うこともありますが、物理的な空間を指すことが多いです。広さは、一定ではありません。人によっても異なりますし、相手との関係性やその時の気分によっても変わります。

これは人に関するパーソナルスペースの解説文ですが、猫にとってのパーソナルスペースも、定義としてはほとんど変わりません。飼い主さんや同居している他の動物との関係性によって、個々にパーソナルスペースの広さは異なります。

家に迎え入れたばかりの飼い主さんには決して近づこうとしなかった猫が、日が経ち、少しずつ関係性ができてくるにつれて距離感も縮まっていき、やがて一緒に寄り添って寝たりするほどの距離感になることもあるのです。

愛猫と快適に暮らすためには、住環境を猫にとって安全で安心できる場所に整えることが大切です。安心できる場所の条件の一つに、パーソナルスペースの確保があります。性格や関係性、気分で変化するパーソナルスペースを適切に保つためには、何を目安にし、どう対応すれば良いのかについて考えてみましょう。

猫が必要とするパーソナルスペースの目安

段ボール箱に隠れる猫

外で暮らす猫の場合、メス猫は半径約50m、オス猫は約500mほどが縄張りだと言われています。ただしメス猫は獲物の数、オス猫はメス猫の数によって左右されます。つまり、狩りも交配もする必要がない避妊・去勢済みの猫たちには、これほど広い部屋は必要がないということです。

しかし、猫が心穏やかに暮らすためには、飼い主さんや同居猫とも安心して過ごせるパーソナルスペースの確保が必要です。ごく普通の関係性を持つ猫同士の場合、すれ違う時に必要な距離は約30cmほど、人との間に必要となる距離はその関係性により約50cm〜150cmほどだと言われています。

そして、猫が危険を察知したときに逃げる距離(逃亡距離)が2mほどだという点も重要です。飼い主さんや同居猫との間のパーソナルスペースが確保されていて、かつ身の危険を察知した場合に2m以内の距離に隠れられる場所があるということが、猫にとって安全な環境だということです。

快適な距離感を保つためのポイント

高い場所から見下ろす猫

1.高い場所に居場所を作る

複数家族や多頭飼育の場合、猫のパーソナルスペースを確保するためには広い家が必要だと感じるかもしれません。しかし、猫は空間を立体的に活用できるため、棚の上を開放する、キャットタワーやキャットステップを設置して高い場所に居場所を作るなどで、十分なパーソナルスペースを確保できます。

2.隠れ家を作る

愛猫と飼い主さんの関係が深まり、パーソナルスペースが0cm〜50cm程度の範囲に縮まったとしても、いざという時に愛猫が逃げ込める隠れ家は必要です。2m以内の目立たない静かな場所に、猫が単独で逃げ込める場所をいくつか設置してあげましょう。

3.飼い主と付かず離れずの場所に居場所を作る

できれば、飼い主さんがよく過ごす場所の近くに、愛猫が落ち着いて過ごせる場所を作りましょう。愛猫のパーソナルスペースを意識した50cm〜150cmの範囲に作ってあげると、普段はその場所で過ごし、甘えたくなるとそっと飼い主さんの元に近づいてくるといった行動をとるようになります。

4.距離を縮めるのは猫主導

飼い主さんは、早くパーソナルスペースを縮めたいと思うでしょうが、焦りは禁物です。距離を縮める主導権は猫が握っていることを忘れてはいけません。よほどのことがない限り、飼い主さんの方からではなく、猫から近づいてきたらかわいがるようにしましょう。

5.愛猫のストレスサインを見逃さない

愛猫が甘えにきたからといって、いつまでも撫でたり抱きしめたりするのも、嫌がられる原因になります。猫は、突然気分のスイッチが切り替わります。気持ちよさそうに撫でられていたのに、突然シャーッと唸ったり引っ掻いたりするのです。

ただし、事前に「そろそろやめて!」というサインを必ず出します。眠くもないのにあくびをしたり、耳を後ろに倒したり、しっぽを振ったり、体を反らしたりといったストレスサインを見たら、すぐに解放してあげることが、適度な距離感を保つ秘訣です。

まとめ

並んで窓の外を眺める猫たち

猫と快適に暮らすために、広い家は必要ありません。たとえワンルームでも、空間を上手に活用すれば、必要なパーソナルスペースを確保して、お互いに快適に過ごすことができます。

ただし猫のパーソナルスペースは、性格や相手との関係性、その場の状況や気分などによって変化します。さまざまな状況を想定して、お互いが普段暮らすための居場所やいざという時の隠れ家なども整え、猫主導を意識しながらお互いの距離感を縮めていきましょう。

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