猫に『人間用の牛乳』を与えてはいけない理由3つ 起こりうるトラブルや体への影響を解説

猫に『人間用の牛乳』を与えてはいけない理由3つ 起こりうるトラブルや体への影響を解説

「猫といえばミルク」というイメージを持つ方は多いかもしれません。でも実は、人用の牛乳は猫の体に大きな負担をかける飲み物なんです。かわいいから与えてみたくなりますが、その一杯が下痢や栄養不良、腎臓へのダメージにつながることも。大切な愛猫に元気で長生きしてもらうために「なぜ牛乳が危険なのか?」その理由を分かりやすく解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫に『人間用の牛乳』を与えてはいけない理由3つ

茶猫 ミルク

1.乳糖不耐症による下痢や嘔吐

最も大きな理由は「乳糖不耐症」です。牛乳には乳糖(ラクトース)という糖分が含まれていて、猫はこれを分解する「酵素」が少なく消化できません。

人でも牛乳を飲むとお腹を下す人がいますが、猫はその割合がさらに高く、多くの成猫は乳糖を処理しにくい体質を持っています。そのため、飲んだ直後は平気でも数時間後に下痢や嘔吐を引き起こすことがあるのです。

たとえば、アイスを一気に食べてお腹がゴロゴロした経験がある人も多いかと思います。猫にとって牛乳は、まさにそれを日常的に味わうようなものです。小さな体で消化不良を繰り返すと、あっという間に体力を消耗してしまいます。

2.栄養バランスが乱れる

牛乳は人にとってカルシウムやタンパク質を補える飲み物ですが、猫の栄養学的な観点ではあまり適していません。

猫が必要とするのは「肉食動物向けの栄養」であり、牛乳ではそれを満たせず、主食として食べる量が減って十分な栄養がとれなくなるのです。

逆に脂肪分が多すぎたり、必要なタウリンやビタミンが不足していたりと、偏った栄養摂取につながります。

もしも猫に牛乳を与え続ければ、一時的に喜んでも、じわじわと体調不良や肥満、栄養不足のリスクを高めてしまう可能性があります。

3.腎臓や消化器へ負担がかかる

猫はもともと腎臓に負担がかかりやすい動物です。牛乳に含まれる脂肪や不必要な成分は、腎臓や消化器にとって余計な仕事を増やす要因になります。

とくに高齢猫では腎臓病のリスクが高いため、牛乳を与える行為は「余計に寿命を縮める可能性がある」と言っても過言ではありません。

若い猫は消化の負担に多少耐えられても、年齢を重ねれば確実に体に響きます。猫の体は人よりもはるかに小さく繊細ですので、その負担は私たちが想像する以上に大きいのです。

与えてしまった時の対応は?

牛乳を飲む猫

うっかり牛乳を与えてしまった場合、すぐに体調を観察してください。下痢や吐き戻しが見られるようであれば動物病院に相談しましょう。症状が軽くても繰り返すと脱水や腎臓への負担になりますので、油断は禁物です。

一方で猫によっては人の牛乳に興味をもったり、ヨーグルトを欲しがる猫もいます。特別なご褒美をあげたいときには「猫用ミルク」を選ぶようにしましょう。

これは乳糖を分解済みで、猫の体に合うよう調整された飲み物です。見た目は牛乳とそっくりですが、安心して与えられる点が大きな違いです。おやつ感覚で少量だけ与えるなら、愛猫にとってもうれしいご褒美になるでしょう。

また総合栄養食の猫用粉ミルクもあり、猫がご飯を食べられない時に溶かして与えると栄養を補えます。

まとめ

猫と牛乳

人用の牛乳は、猫にとって消化不良や栄養バランスの乱れを招き、さらには腎臓や消化器の負担を増やす危険な飲み物です。

「猫が欲しがるから」「昔からのイメージで」といった理由で与えると、思わぬ健康トラブルにつながりかねません。

愛猫の健康を守るには、安全な猫用ミルクやおやつを選んであげることが一番の愛情です。正しい知識を持って日々の暮らしに取り入れ、愛猫と安心できる時間を過ごしたいですね。

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