猫の発情期とは?

発情は、猫が繁殖可能な状態になったときに起こる生理的な変化です。メスの場合、生後半年~1年あたりで初めての発情がやってきます。
発情期は日照時間と関連しており、実験的には14時間を超えて光を浴びるサイクルを作ることで発情が誘発されます。日本では、3月から9月ごろにかけて可照時間(昼の長さ)が長くなるため、この時期に発情が訪れやすく、特に春(3~5月)がピークといわれています。
太陽光だけでなく人工の光でも誘発されるため、室内で飼われていれば日照時間に関わらず発情が起こる可能性があります。
一方、オスの発情期は決まっておらず、性的に成熟した生後7~9か月ごろになると交尾が可能に。発情したメスのフェロモンや鳴き声などに誘発されて、オスも発情すると考えられています。
発情期の猫が見せる3つのサイン

発情期を迎えた猫は、どんな行動をとるのでしょうか。オスとメス両方に見られる特徴についてみてきましょう。
1.落ち着きがなくなる
メスは、オスと出会う機会を求めて落ち着きがなくなります。オスも、発情したメスの鳴き声や匂いに誘われて、ソワソワとし始めます。脱走や迷子の危険性もあるので注意が必要です。
2.大きな声で鳴くことが増える
「うおーん」と叫ぶような大きな声でメスが鳴くのに対し、オスはそれにこたえるように人間の赤ちゃんのような声で鳴きます。いずれも日ごろ聞く鳴き声とは異なった声を出します。
3.”スプレー”行為をする
少量の濃い尿を壁や家具などに吹きかけるスプレー行為。発情期を迎えたメスは、優秀なオスと交尾するために、オスはメスへのアピールのためにスプレー行為をします。
オスとメスの発情期の違いは?

発情期を迎えたメスと、オスでは、共通する特徴がある一方でやや異なる面もあります。それぞれの行動についても確認していきましょう。
メスの特徴
大きな特徴としては、腰を上げて尾を倒し、交尾を受け入れる姿勢(ロードシス)をとることが挙げられます。
また、床をゴロゴロ転がって体を擦りつけたり、食べる量が減ったりする猫もいます。
オスの特徴
すでに解説したように、オスは発情したメスに反応して行動が変化していきます。
外に出たがったり、鳴き続けたりといったこと以外に、攻撃性が増すこともあります。
他のオスにメスを取られまいとする本能が働き、飼い主にも攻撃的になることがあります。
不妊・去勢手術のメリット・デメリット

普段とは違った行動を見せる発情期の猫。猫はもちろん、人間にとってもストレスがかかります。繁殖の予定がなければ、不妊・去勢手術を検討するのも一つの手です。
手術を行ううえでのメリットとデメリットについても学んでいきましょう。
メリット
- 鳴き声やマーキング、徘徊など、発情期に見られる行動がなくなる/大幅に減少する
- 性的欲求や興奮からくるストレスを軽減できる
- 望まない繁殖や、飼い主が知らない間の妊娠などのリスクを回避できる
- メスであれば、子宮蓄膿症や卵巣腫瘍、乳腺腫瘍の、オスであれば、精巣腫瘍や前立腺疾患といった病気を予防できる
デメリット
- 手術をすると、二度と繁殖できなくなる
- 全身麻酔リスク、薬剤アレルギーや急性心不全などが起こるリスクがある。
- •食欲が増したり、性ホルモンが減ることで基礎代謝率が下がるために太りやすくなる。
まとめ

猫が突然大きな声で鳴いたり、落ち着きがなくなったりすると、飼い主は不安や戸惑いを感じるかもしれません。しかし、発情は猫にとって子孫を残そうとする本能からくる自然なもの。
叱ったり、無理に抑えるのではなく、「今はそういう時期なんだ」と理解することが大切です。
一方で、発情期の行動は猫自身のストレスや、病気のリスクにもつながります。
繁殖を望まないのであれば、去勢・不妊手術を検討することをおすすめします。
悩んだり迷った際には、ぜひ獣医師にも相談を。
正しい知識と理解をもって接することで、愛猫との毎日がより快適で幸せなものになります。