愛猫が『腹痛を隠している』ときの6つの兆候 受診したほうがいいケースは?

愛猫が『腹痛を隠している』ときの6つの兆候 受診したほうがいいケースは?

猫は体調不良を隠すのが得意です。愛猫が腹痛を抱えている時に見せるわずかなサインを見逃さないよう、具体的な兆候を解説していきます。また、すぐに動物病院を受診すべき危険な症状についてもまとめました。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫が「腹痛を隠している」ときの6つの兆候

うずくまる猫

1.姿勢の変化

猫が腹痛を隠している場合、普段とは異なる姿勢を見せることがあります。例えば、体を丸めてうずくまっている、またはお腹をかばうように前かがみになるような姿勢です。

これは、お腹の痛みを和らげようとする猫なりの工夫と言われています。また、触られるのを嫌がって体を固くする、あるいは普段は見せないような場所に隠れてじっとしていることも、痛みのサインとして考えられるでしょう。

これらの姿勢の変化は、猫が静かに苦しんでいる可能性を示しています。

2.食欲・飲水量の変化

腹痛がある猫は、食欲や飲水量に変化が見られることがあります。大好きなフードに興味を示さなかったり、普段よりも食べる量が明らかに減ったりする場合は注意が必要です。

逆に、痛みからくる不快感で水を過剰に飲むようになる猫もいます。また、食べたものをすぐに吐いてしまう、あるいはまったく食べようとしないといった症状は、消化器系の異常を強く示している可能性があり、腹痛と関連している可能性が高いです。

普段の食生活と比べて明らかな変化がある場合は、注意深く様子を観察しましょう。

3.活動性の変化

猫の腹痛は、活動性にも影響を与えます。普段活発な猫が急に遊びたがらなくなったり、ほとんど動かずに寝てばかりいたりする場合、腹痛を抱えている可能性があります。

また、ケージの隅や家具の裏など、人目につかない場所に隠れてじっとしていることも。これは、痛みや不快感からくる精神的なストレスが原因で、普段の行動パターンが変化しているサインです。

呼びかけに反応が鈍くなる、抱き上げると嫌がるなども活動性低下の兆候として挙げられます。

4.排泄の変化

腹痛は排泄物にも異常としてあらわれることがあります。下痢や便秘、または血が混じった便が出る場合は、消化器系のトラブルが疑われるので注意が必要です。

また、嘔吐を繰り返す、吐き気があるのに吐けないといった症状も腹痛と関連が深いです。さらに、トイレの回数が異常に増えたり、逆に全くしなくなったり、トイレ以外での粗相が増えたりすることも、腹部の不快感や痛みが原因となっている可能性があります。

排泄物の色や形、回数など、普段との違いに気づくことが重要です。

5.身体的な変化

猫が腹痛を隠していても、身体的な兆候としてあらわれることがあります。最もわかりやすいのは、お腹を触られるのを極端に嫌がったり、触ろうとすると唸ったり威嚇したりする場合です。

お腹が張ってパンパンになっている、あるいは触ると熱を持っているように感じることもあります。

また、お腹に痛みがあるために、グルーミングがおろそかになり被毛が乱れたり、逆に痛みを感じる部分を過剰に舐め続けることも。これらの身体的な変化は、猫が痛みに耐えているサインです。

6.行動の変化

腹痛は猫の行動にも微妙な変化をもたらします。普段は穏やかな猫が攻撃的になったり、逆に甘えん坊だった猫が飼い主を避けるようになったりすることがあります。

これは、痛みによるストレスや不快感が、普段の性格に影響を与えているためです。また、落ち着きなく家中をうろうろしたり、同じ場所を何度も嗅いだりする「探す」ような行動を見せることもあります。

これは、痛みの原因を自分なりに探しているか、痛みに伴う不快感から落ち着かない状態をあらわしています。

受診した方がいいケースは?

診察される猫

愛猫に腹痛の兆候が見られた場合、特に以下のようなケースでは、迷わずすぐに動物病院を受診してください。

まずは、ぐったりとして呼びかけに全く反応しない、あるいは意識が混濁している場合は緊急性が非常に高いでしょう。頻繁な嘔吐や下痢が何回も続き、脱水症状の兆候が見られる場合や、便や吐しゃ物に血液が混じっている場合も危険なサインです。

また、お腹が異常に張っていて苦しそうにしている、お腹を触ると激しい痛みを伴うといった場合も緊急性を要します。

呼吸が荒い、舌や歯茎などの粘膜が白っぽい、体が冷たい、けいれんを起こしているといった症状は命に関わる可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

これらの症状は、ただの腹痛ではなく、より深刻な病気が隠れている可能性が高いです。

日常的にできるケア

猫のお腹を触る手

愛猫の腹痛の早期発見と健康維持のためには、日常的なケアが非常に重要です。まず、毎日愛猫の食欲、飲水量、排泄物の状態(色、形、量、頻度)を観察し、記録する習慣をつけましょう。

これにより、普段とのわずかな変化にも気づきやすくなります。また、定期的に愛猫の体を優しく触ってマッサージし、お腹の張りやしこりがないか、触って嫌がるところはないかなどをチェックしてください。

グルーミングの時間や遊びの時間などを通じて、愛猫の普段の行動パターンや性格をしっかりと把握しておくことも大切です。わずかな活動性の低下や姿勢の変化など、日頃の様子を知っているからこそ気づけるサインはたくさんあります。

これらの日常的な観察とケアを続けることで、愛猫の健康を守る第一歩となります。

まとめ

猫をなでる手

猫は腹痛を隠すのが得意ですが、姿勢、食欲、活動性、排泄、身体、行動の変化に注意すれば早期発見が可能です。

特に、ぐったりしている、激しい嘔吐・下痢、お腹の強い張りなどが見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

日頃から愛猫の様子をよく観察し、わずかな異変にも気づけるよう努めることは、私たち飼い主にとって、愛猫の健康と命を守るための大切な役割です。

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