『フライングキャットシンドローム』とは?猫を危険にさらす症状や対処法を解説

『フライングキャットシンドローム』とは?猫を危険にさらす症状や対処法を解説

窓の外を見つめる猫の後ろ姿、なんだかかわいいな…と思っていたら、突然のジャンプ!そんなヒヤッとした経験、ありませんか?もしかするとそれは、「フライングキャットシンドローム」かもしれません。本能やストレスが引き金となるこの行動は、猫の命を危険にさらすことも。この記事では、その原因や落下事故を防ぐための工夫について紹介します。

SupervisorImage

記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

『フライングキャットシンドローム』とは?

窓際の猫

「フライングキャットシンドローム」は、猫が高い場所から突発的に飛び降りてしまう行動や、強い衝動で窓やベランダから飛び出してしまう状態を指す俗称です。単なる「やんちゃ」とは違い、命に関わることもあるため注意が必要です。

猫はもともとジャンプ力に優れ、高いところも大好きな動物です。しかしそれが裏目に出ると「フライング」という危険な行動につながります。とくにマンションのベランダや窓際など、落下の危険がある場所では注意しなければなりません。

危険な「飛び降り」には原因がある

寝ながら体を伸ばす猫

猫が突然飛び出してしまう原因は、いくつか考えられます。ひとつは「鳥や虫などの動くものに反応する本能」です。窓の外を飛ぶ鳥に興奮し、そのままダイブしてしまうことがあります。

また、室内環境によるストレスや刺激不足も関係していることがあります。遊び足りなかったり、退屈していたりすると、ちょっとした外の刺激に異常に反応してしまいます。たとえるなら、エネルギーを持て余した子どもが急に全力ダッシュするような状態です。

さらに、未去勢・未避妊の猫は、発情期に異性の匂いに惹かれて無謀な行動をとることもあるため、猫の本能的な衝動が原因と考えられています。

もし落下してしまったらどうする?

窓際の子猫

もし愛猫が高い場所から落ちてしまったら、まずはすぐに動物病院へ連れていきましょう。猫は「柔軟な体だから大丈夫」と思われがちですが、骨折や内臓損傷など、外見ではわかりにくい深刻なケガをしていることがあります。

もしも3階以上の高さから落下した場合、「高所落下症候群(ハイライズシンドローム)」と呼ばれる状態になりやすく、肺損傷や顎の骨折などが見られるケースもあります。元気そうに見えても、決して油断は禁物です。

飛び出しを防ぐためにできる対策

キャットタワーで遊ぶ猫

まず最も大切なのは、「外に出られるスキマをつくらない」ことです。網戸だけでは心もとないので、ロック付きの窓ストッパーやベランダの柵にカバーを取り付けると安心です。

また、猫の好奇心や本能を室内で満たせるように、キャットタワーやおもちゃでしっかり遊ばせることも重要です。毎日少しでも遊びの時間をつくることで、外の刺激に過敏に反応するリスクを減らせます。

なるべく子猫のうちに去勢・避妊手術を行うことで発情による衝動的な行動を抑えることも可能です。

まとめ

ジャンプしそうな猫

猫が「飛ぶ」行動を見せたとき、それは単なる元気の証ではなく、環境や心理状態のサインかもしれません。

「ちょっと変だな」と思ったときこそ、見過ごさずに環境や習慣を見直してみてください。そして何より、猫が安心して暮らせる「安全な室内環境」を整えることが、最大の予防策です。

猫の自由さと安全を両立させることは簡単ではありませんが、それができるのは一緒に暮らす私たちだけ。愛猫の「飛びたい」気持ちに寄り添いながら、「飛ばせない工夫」で守っていきましょう。

スポンサーリンク