最後の生き残りだった「国会議事堂の猫」、17歳で亡くなる 過去には首相に立候補も カナダ

最後の生き残りだった「国会議事堂の猫」、17歳で亡くなる 過去には首相に立候補も カナダ

カナダの国会議事堂には、2013年まで猫のコロニーがありました。最盛期には30匹以上の猫がボランティアの世話を受けて暮らしていたといいます。ここで育った最後の生き残り猫がこのたび虹の橋を渡りました。

ネズミ退治のために国会議事堂へ

カナダの国会議事堂と国旗

画像はイメージです

その昔、カナダの国会議事堂に連れてこられて1950年代までネズミ捕りとして働いてきた猫たちがいました。しかし、薬剤による害獣駆除が導入され、猫たちは「解雇」されたのです。行き場を失った猫たちは、そのまま野良猫になりました。

その後は、ボランティアの人々が国会議事堂の裏に猫たちの小さなコロニーを作って世話を続けてきました。最盛期には30匹以上の猫が飼育され、寄付によってご飯代がまかなわれてきました。

議員たちは国会の質疑応答の前によくここにやってきて、猫を相手にスピーチの練習をしていたといいます。

猫たちは避妊・去勢手術を受けて放たれたため、その数は徐々に減っていきました。やがて2013年にこの場所が閉鎖され、残った猫たちは里親へと引き取られていきました。

コロニーが閉鎖され、ボランティアの飼い猫になる

庭にたたずむ黒猫

画像はイメージです

このコロニー出身で、最後まで生き残っていた猫Coalが、2025年7月に虹の橋を渡りました。飼い主のDanny Taurozziさんによると、Coalはがんとの長い闘病生活を続けてきましたが、17歳の誕生日を迎えた直後に健康状態が悪化して亡くなったということです。

「Coalはとても心のやさしい猫でした。誰に対しても穏やかに接し、攻撃的な面はまったくなかったのです」とDannyさん。

Coalは子猫のときに捨てられて、国会議事堂のコロニーで4年間を過ごしました。そこが閉鎖されると、ボランティアだったDannyさんに飼い猫として引き取られたのです。

Coalは唾液腺がんを患っており、のちに肺にまで転移してしまいました。関節炎と腎臓病にも苦しんでいたといいます。

がん治療に多額の寄付が集まる

獣医の治療を受ける黒猫

画像はイメージです

国会議事堂時代、漆黒の毛と明るい緑色の目を持つ美しいCoalは、多くの来訪者を出迎え、魅了してきました。飼い猫になってからもSNSで多くのフォロワーを獲得し、2015年の連邦選挙では首相に立候補するほど活躍していました。

Coalにがんが見つかったとき、治療には3万カナダドル(約323万円)が必要だと知ったDannyさんは、ネット上で寄付を呼びかけました。人気者だったこの猫のために集まった1万5千カナダドル(約160万円)以上の寄付のおかげで、Coalは最高の治療を受けることができました。

「あのとき寄付をしてくれたすべての人に感謝しています。Coalがカナダの人々の温かい心の象徴として、みなさんの記憶に残ることを願っています」とDannyさんは当時話していました。

カナダ国会議事堂の最後の猫Coalが亡くなったことは、「国会のネズミ捕りに猫が活躍した時代」の終わりを象徴しているのかもしれませんね。

出典:
The end of an era: Last feline from Parliament Hill cat colony dies
A part of Purrliament history: Last Hill cat survives cancer scare

スポンサーリンク