1.なぜか昼間はあまり見かけない

猫たちが集まっている姿は、昼間にはあまり見かけないと思いませんか?
実は、猫の集会は、夕方から夜にかけての時間帯に開かれていることがとても多いのです。これは、猫が「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」と呼ばれ、薄暗い時間帯に活動が活発になる習性を持っているためです。
また、人の活動が落ち着いてくる夜の時間帯には、車や人通りも減るため、周囲の騒音に邪魔されずに、静かに安全に過ごせる時間でもあります。これは、同じ薄暗い時間帯でも明け方に猫たちが集まらない理由のひとつでもあります。人の活動が始まる直前だからなんですね。
2.なわばり確認のための情報交換⁉

猫は基本的に単独で行動する動物ですが、完全に孤立して生活するわけではありません。特に野良猫や外猫たちは、近くで暮らすほかの猫とお互いにゆるいつながりを作ります。
同じ地域に暮らす猫たちが定期的に集まり、おたがいの存在を確認し合っているのではないかと考えられています。集会には、オスもメスも母猫に連れられた子猫がいるときもあります。なわばりが重なる猫同士では、無用な争いを避けるためにも「顔合わせ」が役立っているのかもしれません。
猫同士は、しっぽの動きや視線、距離の取り方などを使って、さりげなく相手の状態を読み取り、おたがいに情報を伝え合っていると考えられています。
一見、それぞれがただ座っているだけに見えますが、実は静かに多くの情報を交換しあっているのかもしれませんね。
3.実は日本だけじゃない!

夕暮れどきの空き地に猫が集まる光景は、まるで日本特有の情景だと思われそうですが、実は、海外でもよく見られます。ヨーロッパやアジア、南米など、場所や気候に関係なく、同じような猫の行動が報告されているのです。
英語圏では、野良猫の集団を「コロニー(colony)」や「クラウダー(clowder)」と呼ぶことがあります。これらの猫たちは餌場や縄張りを共有しているため、自然と猫集会が行われるのかもしれません。
世界各地の猫集会も、日本と同じように人の気配が少なくなる夕暮れや夜の時間帯に開かれているようです。猫たちがぞろぞろと集まり、静かに座っている様子も共通して見られます。また、集会場所も、都市部の裏路地や教会の前庭、公園など、なぜか猫たちは似たような場所に集まる傾向があるようです。
4.人に見られたらそろそろ解散

猫の集会に見とれていたら、猫たちがぞろぞろと立ち去ってしまう場面を目にしたことがあるかもしれません。
外にいる猫たちは警戒心が強く、周囲の気配にはとても敏感です。静かな時間が求められている集会中に人間の気配が入り込んで場の空気が乱れたと感じると、猫たちはそそくさと解散してしまうのです。
もし、猫たちが集会をしているところを見かけても、決して近づかず、見たい気持ちを抑えて、十分に離れた場所からそっと観察するのがポイントです。猫たちの自然なふるまいや、普段とは違う一面をこっそりと垣間見ることができるかもしれませんよ。
まとめ

猫の集会は、その目的も行動の意味もいまだにはっきりとは解明されていません。けれど、そこには猫同士のつながりや、彼らなりの小さな社会性のようなものが感じられます。
面白いことに、一部では完全室内で暮らしている多頭飼いの猫たちも、夕暮れになると自然と同じ部屋に集まることがあるようです。同じなわばり内で暮らす猫たちが、一定の時間、集まったあと、自然に解散する行動は、もしかしたら本能的に組み込まれた行動なのかもしれませんね。
もし夜道で、静かに集まる猫たちの姿を見かけたら、そっと距離をとって、彼らの真剣なやりとりを少しだけのぞかせてもらいましょう。そこにはきっと、猫たちにしかわからない世界が広がっていますよ。