1.老化

猫も年齢を重ねるにつれて体のあらゆる機能が少しずつ衰え、被毛の質にも影響が出てきます。とくに、毛割れは老猫に多く見られる症状のひとつです。
年を重ねると、代謝が落ちたり全身状態が悪化して被毛に必要な栄養素が不足したり、毛づやが悪くなったり、水分不足が理由で被毛がパサついたりするなどして、毛割れを起こしやすくなると言われています。
また、筋力の低下や関節の痛みなどによってグルーミングの頻度や範囲が減り、自分で毛づくろいがうまくできなくなるのも理由です。
こまめなブラッシングやマッサージで被毛の健康をサポートし、年齢や健康状態に合った適切な食事を与えるようにしましょう。また、水分補給ができるように工夫することも大切です。ウェットフードを活用するなど、無理なく摂取できるようにするのが理想です。
2.栄養不足

猫の被毛が毛割れを起こす理由として、栄養が不足していることが挙げられます。とくに、タンパク質や必須脂肪酸(オメガ3、オメガ6)の不足は被毛の質を低下させ、毛割れの原因になりがちです。
たとえば、体重管理のためにカロリーや脂肪を減らすという飼い主さんも多いと思いますが、減らしすぎると被毛の健康を維持するための油分が不足し、毛割れを引き起こすことがあります。
猫の健康を維持するためにも、年齢や健康に合わせた、栄養バランスの整った食事(総合栄養食)を与えることが大切です。食事の見直しは、被毛だけでなく猫の全身の健康維持にもつながります。
食事での改善が難しい場合は、サプリメントの利用もおすすめです。詳しくは獣医師に相談してくださいね。
3.皮脂の汚れ

猫の皮膚と被毛は適度な皮脂で覆われており、これが天然の保湿剤として機能しています。しかし、皮脂の分泌が過剰になると、毛穴が詰まるという理由から毛割れが起きることがあります。
そのため、皮脂の分泌が多い猫や長毛の猫の毛割れを防ぐには、毎日のブラッシングや定期的なシャンプーをおこない、被毛や皮膚の汚れ、被毛の絡まりを防ぐことが大切です。
水が嫌いな猫は、水のいらないシャンプーやシャンプータオルでこまめに拭いてあげるのもおすすめです。
4.病気

猫の被毛が毛割れを起こす背景には、ホルモンバランスの乱れを引き起こす内分泌疾患や内臓疾患が隠れている場合があります。毛割れのほかに、元気がない、食欲がないといった症状が見られたら、病気の可能性を疑いましょう。
毛割れを引き起こす可能性のある病気には、以下が挙げられます。
- 慢性腎臓病
- 慢性胃腸炎
- 甲状腺機能亢進症
また、食欲が低下する病気では、水分補給ができなくなり、脱水症から毛割れを起こすこともあります。上述の病気の中では、慢性腎臓病の猫は、脱水症状からの毛割れを起こしやすいと言われています。
これらの病気は早期発見が重要です。体調不良や行動の変化があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ

猫の毛割れは、老化や栄養不足、皮脂の汚れ、病気など、さまざまな理由で起こります。毛並みの乱れは体調の変化を知らせるサインでもあるため、日頃からよく観察し、異常が見られたら早めに対処することが大切です。
毛割れの改善には、食事の見直しや定期的なシャンプーが効果的です。必要に応じて、日常のケアを見直しましょう。
また、毛割れ以外にも、元気や食欲などに変化が見られる場合は、病気が疑われます。早めに動物病院を受診し、早期治療に努めましょう。
被毛や皮膚の定期的なケアは、健康チェックのためにもとても有意義です。