1.猫はなぜたくさん眠るのか?

「寝る子」が猫の語源になったとも言われるくらいに、猫はよく眠ります。一日の平均睡眠時間は、約14時間以上です。そのロング・スリーパーぶりに、日頃から睡眠不足がちな飼い主さんはちょっと羨ましさを感じるかもしれません。
では、いったいなぜ猫はそれほどまでにたくさん眠るのでしょうか?
重要な鍵を握るのは、猫本来のライフスタイルです。
猫はもともと肉食ハンターであり、単独で行動し、獲物を仕留める生活を続けてきました。いつ訪れるかもわからない獲物を待つ作業は、精神的にも、体力的にもつらいものです。たとえうまく遭遇したとしても、簡単に捕まえられるわけではありません。
限られたチャンスを活かすため、猫は、日中の間はたっぷり眠って体力を温存し、獲物が活発化する明け方や夕暮れどきに狙いを絞って、動き始めます。無駄なエネルギーを使わず、効率的に獲物を捕らえるには、長い睡眠時間が不可欠なわけです。
現在の飼い猫も同じように、大昔からの行動習慣が残っており、美味しいゴハンが常に用意された生活でも、相変わらず、たくさん眠るライフスタイルを貫き通しています。
2.猫も夢を見るのか?

結論から言うと、猫もまた、人間と同様、夢を見ている可能性がある、と言われています。猫の睡眠サイクルは、基本的に人間と変わりません。睡眠中、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を交互に繰り返します。
人間との間で唯一違うところは、熟睡する時間、つまり、ノンレム睡眠が極端に短いことです。猫のノンレム睡眠は、一回の睡眠につき、わずか6~7分程度に留まります。
猫の熟睡時間が極端に短いのは、野生の現場で深い眠りに落ちてしまうと、敵に襲われる危険性が高くなるからです。ウトウト程度の眠りであれば、何か異変が起こってもすぐに目覚めて、臨機応変に対応できます。
レム睡眠中に、しっぽを振り回したり、耳があらぬ方向に向いたり、口元をむにむにさせたりすることから、猫も夢を見ているかもしれない、と推測されています。
ただ、現在の科学では、猫が夢を見ているかどうか、完全に解明しきれていないのも事実です。実際に夢の中にいるかは、あくまで見る側、飼い主さんの想像力次第かもしれません。どうせならワクワクするような楽しい夢を見ていて欲しいものです。
3.猫は寝言を言うのか?

私たち人間の睡眠が日々の記憶定着にひと役買っていることは、みなさんもご承知でしょう。たとえば、昼間、職場で上司から理不尽に叱られたら、その記憶を何とか消化するために、夜中、「うるせーんだよ、あいつ!」という寝言となって、噴出します。
猫もまた、レム睡眠の間に、その日体験した出来事や場面を記憶として定着させ、整理していると考えられています。断片的な記憶をつなぎ合わせている過程で、ふと口をついて出てくるのが寝言です。
猫に照らして言うと、飼い主さんにやさしく撫でられた場面が「ニャー!(最高!)」という寝言に変換され、美味しいゴハンに満足した記憶が「ウニャ、ウニャ(デリシャス!)」という寝言に変わります。
猫は人間よりもレム睡眠時間が長いので、その分、毎日、たくさんの夢を見ているのかもしれません。
もし愛猫が睡眠中、「ニャルセーンダヨ、アイツ!」と寝言を口走ったら、おそらく、昼間、キッチンテーブルに乗った際、飼い主さんに注意されたときの腹いせのつもりです。
まとめ

いかがだったでしょうか?
今回は、猫の睡眠について、基本的なところを踏まえながら、3つの視点に分けて紹介しました。
猫がたくさん眠るのは、ハンターとしてのライフスタイルが今も息づいているからです。また、睡眠時のしぐさや寝言などから、夢を見ているらしい、という可能性も指摘されています。
愛猫の寝顔を眺めているだけで、幸せな気持ちに包まれる飼い主さんも多いはずです。これからも愛猫が安心して眠れるように、いろいろとフォローしてあげてください。