猫が『死期を悟ると姿を消す』のは本当?そう言われる理由と取るべき対応

猫が『死期を悟ると姿を消す』のは本当?そう言われる理由と取るべき対応

猫は、死ぬ前に飼い主さんの前からいなくなる…というのは有名な話です。果たしてそれは本当なのでしょうか。姿を消す理由と、愛猫が弱ったときの飼い主さんの対応について紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

猫は死期を悟れない

ぼんやりする老猫

そもそも、猫は「死期を悟る」ことが出来るのでしょうか。猫に聞いてみないことには分かりませんが、人間以外の動物は「死」の概念がないといわれています。死の概念がなければ、死期も分からないといえるでしょう。

しかし、猫が急に姿を消してしまう事例はたくさんあります。心配した飼い主さんが探しに出てみると、草木の茂みで亡くなっていた…ということは少なくありません。死期を悟っているわけではないとしたら、どうしてわざわざ飼い主さんの前からいなくなってしまうのでしょうか。

猫が姿を消す理由

草むらを歩く猫

回復するために身を隠したがるから

猫はもともと自然界の中で生きてきた動物です。それも、群れではなく単独で生き抜く性質を持っています。そんな猫が体調を崩したとき、最初に考えるのは「敵に襲われないか」ということでしょう。いくら身体能力の高い猫でも、体調が悪いときには戦うことも出来ません。

そのため、体調不良を自覚した猫は、誰にも見つからない静かで暗い場所に身を潜める習性があるのです。隠れ家でしばらく休養したあと、再び外に出ていきます。残念ながらそのまま息絶えることもあるため、傍から見ると「急に姿を消したまま亡くなった」と感じてしまうのです。

家猫には外敵など存在しませんが、このような習性が残っているため、家の中でも見つかりにくい場所に身を潜めることがあります。

テリトリー争いに負けたから

猫にはテリトリーというものが存在します。基本的にはなるべく他の猫と重ならないようにマーキングをしてテリトリーを決定しますが、しばしば場所の取りあいで喧嘩になることがあるようです。

戦いに負けた猫は、その場から撤退しなければなりません。外猫の場合はテリトリーを変えている可能性がありますので、エリアを広げて探してみるといいでしょう。家の中と外を自由に行き来している猫では、回復のために数日隠れてから帰宅するケースもあれば、縄張り争いを期に完全に姿を消してしまうこともあります。

雌猫を求めて旅に出たから

去勢していない雄猫の場合、雌猫のニオイに誘われて着いて行ってしまうことがあります。そのまま雌猫と一緒に放浪の旅に出てしまうことも。様子の変化があったのちに姿を消したのであれば、どこかで元気に暮らしている可能性もあるでしょう。

飼い主に出来ること

撫でられる猫

治療の検討をする

猫が体調に問題があり身を潜め始めたら、まずは動物病院に連れて行きましょう。当然のことながら、改善の余地があるなら治療に励むことが最善です。しかし、治療効果が見込めない場合や、老齢で負担が大きい場合は、治療をしないという選択肢も出てきます。

獣医師と相談しながら、愛猫にとってベストな選択をしてあげましょう。

寝床を整える

死期が近づいた猫は、とにかく睡眠時間が長くなります。寝床が一番の居場所になるため、毎日快適に寝られるよう環境を整えてあげることが大切です。

具体的には、柔らかいクッションやベッドの上にシーツを敷き、汚れたらシーツを洗うようにします。洗い替えのシーツが何枚かあると便利です。

また、長時間寝たままの姿勢になるため、床ずれも起こしやすくなります。負担がかかっている箇所がないかどうか、こまめにチェックしてあげるといいでしょう。

心のケアをする

猫が身を潜めるのは、不安になっているからという理由もあります。過剰に神経質にならないよう、声をかけたりなでてあげるなどしてメンタルケアをしてあげてください。

とはいえ、ひとりで静かに過ごしたいときもあるでしょう。あまりに無理に構い過ぎず、猫の気分を察してあげることが大切です。

まとめ

飼い主と猫

猫は体が弱ると、ご飯を食べなくなったり、排泄を失敗するようになるなどの変化が見られます。静かなところに移動したがるときは、体調不良を感じているサインである可能性も。

心身ともに不安定になっている可能性があるため、治療の方向性を決めるとともに、寝床や心のケアをしてあげるといいでしょう。

猫の気持ちになって寄り添ってあげることで、安心して最期を迎えられるはずです。

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