猫の高血圧症とは?

高血圧症とは、慢性的に血圧の高い状態になり、目や心臓などの臓器に影響を及ぼす病気です。
アメリカ獣医内科学会(ACVIM)のガイドラインによると、猫の血圧は正常から重度高血圧まで以下のように分類されています。
- 正常:140mmHg以下
- 前高血圧:140〜159mmHg
- 高血圧:160〜179mmHg
- 重度高血圧:180mmHg以上
160mmHg以上で高血圧となり、健康にも影響を及ぼすようになります。そのため血圧が160mmHg以上になると治療の対象となります。
また140mmHg以上の場合は、高血圧ではありませんが、高血圧予備軍の状態です。今後さらに血圧が高くなる可能性があるため要注意です。
猫の高血圧症の症状

猫が高血圧になると、目、腎臓、心臓、脳に障害を負うことがあります。とくに目の網膜や心臓が影響を受けやすく、網膜剥離、失明などが起きやすいとされています。
高血圧は進行するまで目立った症状が見られないことが多く、気づきにくいと言われています。飼い主さんが高血圧に気づくきっかけで多いのは、突然の眼底出血、失明があります。
猫の高血圧では、以下のような症状が見られます。覚えておくと良いでしょう。
- 目が見えない
- 目が赤くなる
- 元気消失
- 食欲消失
- 痙攣発作
- 首が傾く(斜傾)
猫の高血圧症の原因

猫も人間と同じく高血圧症を発症しますが、その原因は大きく異なります。人間のように肥満や塩分の過剰摂取、生活習慣病との関連性は認められていません。
猫の高血圧症の原因は、原因が特定できない特発性と、基礎疾患が原因になる二次性があります。猫の高血圧のほとんどが二次性によるものです。
猫の高血圧症を引き起こすと言われているおもな病気は以下となります。
- 慢性腎臓病
- 甲状腺機能亢進症
- 副腎皮質機能亢進症
- 原発性高アルドステロン症
これらの病気以外にも、服用している薬の影響を受けて血圧が高くなる場合があります。
猫の高血圧症の対処法

血圧が160mmHg以上の場合は治療の対象です。基礎疾患が原因の場合は、原因となる病気の治療と血圧を下げる治療を同時におこないます。血圧を下げる治療では、降圧剤が使用されるのが一般的です。
猫の高血圧症は、人間のように生活習慣は影響しないと言われていますので、直接的な予防法はありません。ただし二次性高血圧が原因となる病気を予防できれば、高血圧症のリスクも減らせます。
水分摂取や健康的な食事、適度な運動を心がけて健康を維持できるようサポートすることが大切です。またストレスも病気の原因になり得ます。猫が安心かつ快適に暮らせる環境を整えるようにしましょう。
また定期的に血圧を測定することで高血圧の早期発見につながります。猫の血圧を自宅で測定するのは難しいので、健康診断の際にお願いすると良いでしょう。
まとめ

猫の高血圧症は、初期では目立った症状が見られません。そのため気がついたときには、かなり症状が進行しているというケースが多いと言われています。
高血圧症には直接的な予防法はありませんが、原因となる病気を予防することでリスクを減らすことは可能です。
高血圧症が原因で引き起こされる病気には、失明や神経症状を引き起こすものもあり、猫の生活の質を大幅に低下させる原因にもなり得ます。
愛猫の健康と生活の質を守るためにも、高血圧の原因となる病気の予防に努めましょう。