高血圧は猫にもある?その原因と体への影響

猫の高血圧は「二次性高血圧、あるいは続発性高血圧」と呼ばれるタイプが大半を占めます。これは慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症といった基礎疾患に伴って起こるもので、年齢を重ねた猫ほどリスクが高まります。一方で、特定の病気が見つからない「本態性高血圧」も少数ながら存在します。
高血圧の怖さは、自覚症状がほとんどないまま重要な臓器がダメージを受けてしまう点にあります。特に目では網膜出血や網膜剥離を引き起こし、失明につながることがあります。腎臓への影響も大きく、すでにある腎臓病を悪化させるだけでなく、新たに腎障害を招く原因にもなります。さらに、脳出血や発作、心臓肥大なども報告されており、体全体にダメージを広げてしまう病気なのです。
気づきにくいサインと日常でのチェックポイント

猫の高血圧は外から見てすぐにわかるものではありません。ただし、日常の行動や身体の変化からヒントを得られる場合があります。たとえば急に視力を失ったように壁や家具にぶつかる、歩き方がぎこちなくなる、または急に元気がなくなるといった変化は要注意です。
また、腎臓病や甲状腺の異常を指摘されたことのある猫は特にリスクが高いため、数ヶ月に1回の定期的な血圧測定が推奨されています。動物病院では人間と同じようにカフを使って非侵襲的に血圧を測定できますが、ストレスによって一時的に上がることもあるため、繰り返しの測定や他の検査結果と合わせた判断が必要になります。
飼い主としては、「シニア期に入ったら血圧測定も健康チェックの一部」と意識することが大切です。外見の変化だけに頼らず、定期健診の中で早期に発見できる体制を整えることが、病気の進行を防ぐ最善の手段です。
治療と家庭でできるサポート

猫の高血圧と診断された場合、根本的な原因となる病気の治療とあわせて、血圧を下げる薬を用いることが一般的です。特にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(テルミサルタンなど)やカルシウム拮抗薬(アムロジピン)が治療の中心となります。これらの薬は継続的に投与することで、臓器障害の進行を防ぐ効果が期待できます。
ご自宅では、投薬をきちんと続けることがもっとも重要です。猫は体調の変化を隠す動物なので、少しの異変も見逃さず、食欲や行動の変化を日々観察しましょう。また、基礎疾患として腎臓病や甲状腺疾患がある場合は、それらの管理も並行して行うことが欠かせません。
さらに、体調管理の一環として定期的な健診を続けることが大切です。血圧は一度下がったからといって油断せず、長期的にコントロールしていくことが、愛猫の生活の質を守る鍵となります。
まとめ

猫の高血圧は静かに進行し、目や腎臓、脳などに深刻な障害をもたらす可能性があります。早期に気づくには定期的な血圧測定が欠かせません。日常の小さな変化を大切にし、動物病院と協力しながら愛猫の健康を守りましょう。
(参考文献:J Vet Intern Med. 2018 Nov;32(6):1803-1822.)