1.毛づくろいのつもりだから
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猫は、親しい相手と毛づくろいをし合うことで、愛情を伝えようとする傾向があります。これは専門用語で「アログルーミング」と呼ばれ、信頼関係を築くためのコミュニケーションの一環です。
深い信頼関係が結ばれていると、相手に身を委ねたり、自分がなめてほしい部位を差し出したりすることもあります。
猫の舌の突起はザラザラとしているため、手や足を舐められると少しチクチクしますが、髪の毛であれば刺激は少なめでしょう。
ただし、猫が気合を入れすぎてしまい、爪を引っかけてしまった事例もあるので、思わぬケガをしないよう注意してください。
2.おもちゃ扱いしているから
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髪の毛がゆらゆらと揺れる様子は、おもちゃのように見え、猫の狩り本能を刺激します。ついイタズラをしたくなる猫も多く、柔らかい髪質やロングヘアの場合は、一層気をつけたいものです。
なめるのをやめさせずに放置していると、次第に行動がエスカレートし、噛む、引っ張るという行動に発展する可能性もあるでしょう。
寝ているときや何かに集中しているときなどは、飼い主さんの監視の目が薄れるため、余計に狙われやすくなるかもしれません。
睡眠を妨害される場合は、ナイトキャップを被り、髪の毛に接触できないように工夫するのもひとつです。
3.匂いに惹かれるから

ここでの匂いとは、飼い主さんの頭皮や髪の毛の匂い、シャンプー、整髪剤のことを指します。
人の頭皮は、皮脂が分泌されやすく、その匂いを不快に感じることもあるでしょう。しかし、猫にとっては不快ではなく、むしろ飼い主さんの匂いを強く感じられるスポットとして好まれます。シャンプーや整髪剤に含まれるハーブの成分も、猫を夢中にさせることがあります。
始めのうちは、くんくんと匂いを嗅いで安全かを確認し、問題ない匂いと判断すると、ぺろぺろとなめ始めるのでしょう。
ちなみに筆者の場合は、髪の毛に食べカスをうっかりつけていたときに、愛猫に狙われた経験があります。
かわいいけどやめさせたほうがいいかも?
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愛らしい行動ですが、髪の毛を食べようとするしぐさが見られるのであれば、すぐにやめさせましょう。便となって排出されれば問題ありませんが、消化不良や腸閉塞の引き金となり、猫の健康に悪い影響を与えかねないからです。
食べ物ではない異物を口にする「異食症」と呼ばれる病気の可能性もあり、ストレスなどが原因となっていることがあります。
「たまになめる程度なら問題ないのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、シャンプーや整髪剤に含まれている成分が、猫にとって有害な可能性もあります。特に、お風呂あがりやヘアセットの直後などは、猫と接近することは控えたほうがよいでしょう。
まとめ
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猫が飼い主さんの髪の毛をなめるのは「毛づくろいでの愛情表現」「おもちゃ扱い」「匂いへの興味関心」が理由として考えられます。
なめるというのは、猫に信頼されている証です。しかし、その頻度や猫の行動のエスカレート具合によっては、やめさせることも検討したほうがよいでしょう。
誤飲により体調不良を引き起こしたり、飼い主さんが思わぬケガをしたりするリスクも潜んでいます。
飼い主さんが、猫とスキンシップを取ることも大切です。猫なりの愛情表現に感謝し、なでなでやブラッシングをして、愛情をお返ししてあげてはいかがでしょうか?