施設に移るため、愛猫とも「お別れ」に
猫は「あまり感情を持たない」と思われがちです。本当でしょうか?
猫のCleoは違います。すばらしい忠誠心を備えた愛情豊かなやさしい猫です。だって、飼い主が老人ホームへ去った数週間後、彼女を追って約26キロも離れた施設まで訪ねてきたのですから。
2014年のことです。英国に住むNancy Cowenさんは、年老いて自立した生活が難しくなり、介護付きの老人ホームへ移ることになりました。8年間飼っていた猫のCleoとも、もうお別れです。彼女は泣く泣く愛猫を近所の家族に託し、ウェストコットにある「Bramley House nursing facility」へ引っ越していきました。
それから1ヵ月も経たないうちに、老人ホームに美しい長毛の猫がやってくるようになりました。その猫は敷地内を探検したり、窓から中をのぞいたり、外のベンチで眠ったりして住み着くようになったのです。
飼い主を慕ってやってきたCleo
施設の職員は「ずいぶん人懐っこい野良猫」だと思いました。とてもかわいいので、すぐに職員みんなに愛されるようになり、餌までもらうようになったのです。
その後すぐに、この猫の秘密が明らかになりました。
ある日、窓の外を歩いている猫を見かけたNancyさんは「愛猫Cleoによく似た猫だわ」と介護士のLeslie Thomasさんに話したのです。このとき「Cleoは以前にケガをして、しっぽの一部が欠けている」と聞いた彼女は、野良猫を注意深く観察しました。
すると、その猫のしっぽも欠けているではありませんか。これにはLeslieさんもびっくりです。Cleoは飼い主を慕って、一度も訪れたことのないこの場所を探し当てたのでした。
けなげな猫の愛情に感動
一体どうやってCleoがこの施設にたどりついたのかは、まったくわかりません。施設は以前の自宅からかなり離れた場所にあったのです。
老人ホームはこの猫の行動に敬意を表し、Nancyさんが施設で飼うことを特別に許可してくれました。それ以来ふたりはずっと一緒に過ごし、ほかの居住者たちもCleoと遊ぶのをとても喜んだといいます。
猫はときに頑固で不機嫌になったり、知らん顔をすることもあります。しかし、内面ではいつも飼い主家族のことを愛しているのです。
人間には家族や友人、職場の仲間など、支えてくれる人々がいますが、猫にとっては飼い主だけが信頼できる存在です。愛する飼い主を必死で探し当て、そばにいようとするけなげな猫の愛情に、わたしたち人間も誠実に報いたいものですね。
出典:
・A Definition Of Cat’s Love: This Kitty Followed Her Owner Into A Retirement Home
・Cat makes incredible journey to find her elderly owner after they are separated