1.爪の抜け殻
爪の抜け殻とは、猫の爪の外側にある古い層が剥がれ落ちたもので、半透明で三日月の形で中が空洞になっています。爪とぎをした後や遊んでいる場所などで見つかることが多く、爪の形そのまんまのものがあるので、初めて見るときはとても驚きます。
猫の爪は、内側から新しい爪が出てきて、外側にいくほど古くなってきます。
古い層はパリパリと硬いため、爪とぎをすることで不要になった分が剥がれ落ちるだけなので、特に心配する必要はありません。
ただし、爪が分厚いなど異常な形状が見られたりする場合は注意が必要です。
2.毛のかたまり
春や秋の換毛期は大量の毛が抜けやすくなるので、床の一部がぼんやりしていると思い、よく見てみると大量の猫の抜け毛がボール状になってまとまっていることがあります。
換毛期は体中の毛がどんどん抜けるので、毎日掃除機をかけていても、数時間後にはごっそり落ちていることも。猫のブラッシングだけでなく抜け落ちた毛の処理も重要です。
もちろん、毛の生え代わりは、自然な生理現象なので、猫の健康に大きな影響を与えるものではありません。ただ、特定の場所だけ毛の抜け方が激しい場合や、皮膚に赤みなどが見られる場合は皮膚炎の可能性も。ブラッシングの際には、異常がないかも見てあげるようにしましょう。
3.ヒゲ
抜け毛かと思いきや、ひときわ太くて立派な「1本」があれば、それはヒゲかもしれません。猫のヒゲは、だいたい半年くらいごとに定期的に抜け替わります。ただ、ほかの毛のようにヒゲが複数本同時にごそっと抜けることはありません。
猫のヒゲの根元には神経が集中していて、これによって体と物との間隔を測れるため、暗闇でも狭い場所を通ることができます。また、気持ちによって大きく広がったり後ろ側に倒れたりして感情表現にも役立っています。
「抜けた猫のヒゲは縁起物」といわれ、大切に保管する人もいます。ヒゲが1本抜けたとしても感覚機能に問題はありませんが、前述のようにヒゲは猫にとって繊細な部分です。生えているヒゲは、くれぐれも引っ張らないようにしましょう。
4.うんち
猫の落とし物の中で最大にビビる物といえば「うんち」ではないでしょうか。コロコロのものがひとつ、床に転がっていたという話は珍しくありません。
トイレの近くであれば、勢いよく砂をかいたせいで飛び出してしまったのかもしれません。トイレとは別のお部屋なら、たくさんの抜け毛や長いまま飲み込んだ猫草が便に絡まり、お尻についてきてしまった可能性もあります。
うんちが落ちているという衝撃的なケースは、あまり多くありませんが、一ヵ月のうちに何度も見られるときや、落ちているうんちが柔らかすぎたり硬すぎたりするときには、消化器の問題も考えられます。何日か続くようであれば動物病院を受診しましょう。
5.歯
猫の落とし物の中でも、特にレアなものが「歯」です。生後3ヵ月前後の子猫は、乳歯が永久歯に生え変わる際にポロッと落ちることがあります。ほとんどの場合は、食事と一緒に飲み込んでしまうため、落ちて見つかることはごく稀です。
一方で、成猫の歯(永久歯)が抜け落ちていた場合は要注意です。成猫の歯が抜ける原因は、歯石の蓄積による歯周病や吸収病巣という歯の根っこが溶ける病気が進行している可能性があります。
これらは痛みをともなうことがあり、もしかしたらすでに食欲低下などの影響が出ているかもしれません。元気そうにしていても念のため、獣医師に相談するようにしてください。
まとめ
今回は、思わず「なんだこれ?」と驚いてしまう猫の落とし物について紹介しました。
中が空洞になった爪の抜け殻や換毛期の大量の抜け毛などは、多くの場合で問題とはなりません。自然な生理現象として考えられます。また、もし落ちているヒゲを発見できたらラッキーです。大切に取っておくのも良いでしょう。
一方で、うんちや歯の場合には、注意して観察する必要があります。特にオトナの猫の場合には、歯が抜ける事自体が異常なこと。健康問題が悪化しないためにも、できるだけすみやかに動物病院へ行くようにしましょう。