猫には「引っ越し」が負担?
猫にとって、引っ越しは大きな負担になります。「猫は家につく」ということわざがあるように、住み慣れた家を「縄張り」として大切にしています。
引っ越しは、その環境がガラッと変わってしまうことに加えて、嗅いだことのない匂いに包まれることになります。
猫自身の匂いが感じられない環境に落ち着かず、引っ越し後にマーキングをしたり、食欲不振になったりすることも珍しくありません。
さらに、引っ越し作業そのものも、猫にとってストレスの要因となります。知らない人の出入りや、長時間の移動、家具搬出時の騒音など、要因は多岐にわたります。
1.脱走対策を徹底する
前述のとおり、引っ越しは大きなストレスとなり、普段とは違う状況にパニックを起こして脱走するリスクが高まります。
特に、荷物の搬出時にはドアを開けっ放しにする場面が多く、細心の注意が必要です。搬出中は、猫をケージやキャリーに隔離し、脱走する隙を与えないようにしてください。
もしくは、ペットホテルや知り合いの家に預け、引っ越しに専念するのも有効な手段です。
どちらにせよ、猫に大きなストレスを与えることは同じですので、愛猫の性格や引っ越しのスケジュールに応じて、最善な方法を検討しましょう。
2.体調の変化に気を配る
長時間の移動では、猫の体調管理が重要です。ゴハンは乗車する4時間前には済ませ、1〜2時間置きに休憩を取るよう心がけてください。
キャリー内には、猫の匂いがついた毛布などを入れ、少しでも安心できる環境を整えましょう。
車酔いや熱中症に注意し、水やペースト状のおやつを与えて、こまめに水分補給させてあげてください。
暑い季節や寒すぎる季節は車の中の温度変化が大きいため、猫を車の中に入れっぱなしにしないようにしましょう。可能であれば人間は交代で休憩するようにして、車の中の室温管理と猫の様子に常に気を配れるようにしてください。
また、休憩施設の駐車場や移動先などで猫がパニックになり車から脱走する事例が多くあります。
休憩中にキャリーから出した際に、椅子の下に隠れてしまって出てこず、そのまま扉が開いた瞬間に逃げ出してしまうのです。こういった事故の防止のためにも、車の中で猫をキャリーから出すのは避けましょう。
また、引っ越し後も気を抜かず、新たな環境に慣れるまでサポートを続けましょう。猫が自分の意志でキャリーから出るのを見守り、落ち着いたら家中を自由に探検させます。
新しい動物病院を事前に探しておくと、万が一のときにも安心です。
3.猫グッズ・インテリアは現状維持する
新居には新品を揃えたくなりますが、このタイミングで変えることは避けましょう。まずは、匂いがついているものを継続して使い、猫に安心してもらうことを最優先に考えてください。
少し年季が入っていても、毛布や爪とぎ器、トイレなどの猫グッズはそのまま使用しましょう。特にトイレは、新しい砂に交換せずに、使用済みの砂を持っていくことが大切です。
できれば家具などのインテリアも、あまり変えずに現状維持してあげましょう。
猫は、模様替えにも敏感に反応するため、似たようなレイアウトで配置して、ストレスを感じにくくさせることも有効的です。
まとめ
引っ越しは、飼い主さんだけではなく、猫にも大きな負担がかかります。住み慣れた縄張りが一変し、慣れない匂いに包まれることがストレスになります。
引っ越し前後は、猫の体調の変化に気を配るとともに、予期せぬ脱走事故が起きないよう、細心の注意を払いましょう。
ストレス軽減の鍵は、猫の匂いが感じられる環境づくりです。
移動中のキャリー内には、匂いがついた毛布を入れると安心できます。
猫グッズやインテリアも、最初はできるだけ変えず、現状維持することが大切です。
引っ越しの準備を万全に整え、新居でも猫がのびのびと暮らせるようにサポートしましょう。
猫は引っ越し後のストレスによって嘔吐下痢や膀胱炎などの健康トラブルにつながるケースが多くあります。十分にケアしても猫にとっては耐えられないこともあるので、事前に引っ越し先周辺の動物病院や救急病院を調べておきましょう。