体内で分解できない
猫は、人間のようにアルコールを体内で分解することができません。
人間がアルコールを摂取すると、まず肝臓で「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。アセトアルデヒドは酔った時に赤くなったり、吐き気や頭痛といった嫌な症状を引き起こします。
その後、分解酵素によってアセトアルデヒドの分解が進んでいくと、汗や尿などで体の外に出されていき酔いが醒めていくのです。
猫の体はそもそもアルコールを摂取することを想定していないので、肝臓の分解酵素が非常に少なく活性も低いために、アルコールは分解されないまま血中に残ってしまいます。
濃いままでずっと残ったアルコールは、脳や肝臓、腎臓、心肺機能など様々な臓器に悪影響を及ぼし危険なのです。
中毒症状を引き起こす
猫はアルコールの分解ができない上、人間よりも体が小さいので、少量のアルコール摂取でも命に関わるような重篤な中毒症状を引き起こしてしまう可能性があることから十分な注意が必要です。
猫がアルコール中毒になった時に見られる症状としては、
- 嘔吐
- 下痢
- 震え
- ふらつき
- 呼吸の異常
- 意識障害
- 抑うつ
といったものがあります。
正確な量は分かっていませんが、度数が高いウイスキーや日本酒では、小さじ1~2杯程度で中毒症状が出るなど、命に関わる危険があるのです。
猫が飲んでも大丈夫なお酒はある?
実は猫が唯一飲んでも問題ないお酒というのが存在します。それは、「米麴で作られた甘酒」です。
米麴で作られた甘酒は『飲む点滴』とまで言われるほど栄養価が豊富で、必須アミノ酸やブドウ糖など猫にとって必要な栄養も含まれています。
少量であれば食が細くなりがちなシニア期の猫や食欲不振な猫の食欲を促進したり、水を飲まない猫へ水分補給をしたりするのに効果的です。
ただし、酒粕から作られた甘酒にはアルコール分が含まれてしまっているので、間違えないよう表記をしっかりと確認し、アルコールの入っているものは絶対に猫には与えないでくださいね。
誤飲してしまったときの対処法
猫が誤ってアルコールを舐めてしまった場合は、速やかに動物病院に連絡して状況を説明し、検査をしてもらってください。説明の際は、いつ・何を・どのくらい舐めたのかを明確にし、できるだけ多く情報を伝えるようにしましょう。
アルコールを誤飲してしまった猫に大して飼い主ができる応急処置はなく、無理に吐かせようとしたり処置をしようとすると悪化する場合があります。
ちなみにアルコールは飲料だけではなく、料理やお菓子に含まれているものも同じく猫の健康不良を引き起こす原因となりますので誤食に注意してください。
アルコール消毒にも注意が必要
私たちが食べ物や飲み物として摂取しているアルコールだけではなく、消毒ジェルやアルコール入りのウエットティッシュなど身近にある消毒品も猫にとっては害になるものです。
アルコール消毒後、手や消毒の対象物をよく乾かさないまま猫に触れさせると、アルコールがついた部分をグルーミングしてしまい体調不良を引き起こす可能性が高まります。
アルコール消毒やアルコール入りウエットティッシュを使う必要がある場合は、猫が接触する前に必ずよく乾かしてから使用するようにしましょう。
また、動物病院での検査の際にアルコールが使われることもしばしばあります。この場合、多少舐めても悪影響がないと判断されますが、乾くまでの間アルコールのついた部分をしつこく舐めないよう注意しておいてください。
まとめ
キッチンに置いてある飲料や消毒液など、案外猫の身近にあるアルコール。
猫にとっては不必要なものであることから、アルコールを摂取すること自体が想定されておらず、体内で分解することができません。
お酒を飲んでいると猫が興味を持って近づいてくるかもしれませんが、決してお酒を与えることはせず、誤飲しないように徹底して対策しましょう。
猫がアルコールを摂取してしまったら、少量だとしても速やかに病院を受診してください。