愛猫に起こり得る『不妊手術後の変化』5選 いいこと・困ったことの両面から解説

愛猫に起こり得る『不妊手術後の変化』5選 いいこと・困ったことの両面から解説

猫飼いさんの中に定着しつつある不妊手術。何となく"やったほうが良い"というが風潮ですが、実際にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。術後の変化について徹底解説いたします!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

不妊手術後に起こり得る5つの変化

不妊手術

猫を迎えると、メス猫であれば生後6ヶ月頃に、そしてオス猫であれば1歳頃を目安に『不妊手術』を受けることが勧められます。

どことなく矢継ぎ早に説明を受けてしまうと、"やったほうがいいんだよね"という風潮に流されるような雰囲気のまま受けてしまうという飼い主さんもいらっしゃるでしょう。

本当に愛猫のためになるのか、それとも人間のエゴが強いのか。

そんな葛藤を抱える飼い主さんのために、ここでは良くも悪くも起こり得る手術後の変化を5つ紹介いたします。

1.スプレー行為がなくなる

スプレー行為

発情期を迎えたオス猫は、いわゆるマーキング(スプレー行為)をするようになります。通常の排尿とは異なり、凄まじい臭いを放つ放尿です。

適齢期(生後6ヶ月〜1歳頃)に去勢手術を受ける最大のメリットとしては、このスプレー行為がなくなることでしょう。

一見すると人間側のメリットに思えますが、猫側も躍起になって縄張りを主張する必要性がなくなるため、ストレスから解放されます。

ちなみにスプレー行為はメス猫もすることがあります。オス猫のみならず、メス猫も同様にメリットがあるのです。

2.性格が丸くなる

寝転ぶ猫

不妊手術を受けた猫は、子孫を残すために必死になる生活から解放されます。それは肉体的なものばかりではなく、精神面でも同様の変化が起こります。

"いつまでも子猫のままでいい"このようなマインドを持てるようになることで、自ずと性格が丸く(穏やかに)なります。

オス猫であればより甘えん坊に、メス猫はちょっぴりツンデレだけれど飼い主さんを安全基地のように信頼してくれるようになるでしょう。

3.脱走のリスクが減る

外を眺める猫

パートナーを探しに行く必要性がなくなれば、外出する理由もなくなります。お家での生活が快適で、幸せに満ちたものになれば脱走を試みることもなくなるでしょう。

ただし、縄張りが近所にある保護猫は引き続き注意が必要です。室内で愛猫の縄張りが定着するように手助けをしてあげてください。安心できる環境を整えていきましょう。

しかしいずれの場合も、パートナーを求めるという目的で脱走することはなくなるので、不安要素が1つ減ることは確かです。

4.がんの罹患率が減少する

診察を受ける猫

未避妊のメス猫は、将来的に乳腺腫瘍を患うリスクがあります。厄介なことに、猫の乳腺腫瘍は約8~9割が悪性だと言われている恐ろしい病です。

これを阻止する手段として不妊手術が役立ちます。初めての発情期を迎える前である生後6ヶ月頃に手術を受けることで、乳腺腫瘍の発症を抑えることができます。

5.肥満になりやすい

体重を気にする猫

不妊手術における唯一のデメリットとしては、太りやすくなることが挙げられます。

性ホルモンが変化することで脂肪を溜め込みやすい体質へと変わること・一時的ではあるものの食欲が増すことなどの影響が出てきます。

これらの要因によって肥満になると、糖尿病や尿路系の疾患、心疾患につながる恐れがあります。よって術後は、体力が回復した頃合いを見て太りにくい食事へと切り替えていきましょう。

また、筋肉を維持することも重要なので、カリカリが出てくる知育玩具などを用いて運動するように仕向けてみてください。

具体的なダイエット食に関しては、かかりつけの獣医さんに相談しながら決めていくと良いですね。動物病院によってはサンプル品を貰えるので、試食をしながら相性の良いものを選んでみてください。

まとめ

カラーを巻く猫

推奨される意図や家猫としての生活を鑑みると重要性が高い不妊手術。それでもやはり、不安があるという飼い主さんは多いはずです。

結論から言うと、術後に起こり得る変化の大半は"良い変化"です。強いて言うならば太りやすいこと、そして肥満が原因による2次的な病気の心配があることのみがデメリットです。

これに関しては、食生活や運動習慣を見直すことで、これまで通り健康な生活を維持することが十分可能です。

不妊手術は猫側にとってもメリットが大きいこと、懸念点は前もってプランを立てておけば払拭できることが伝われば嬉しいです。それでも心配なことがあれば、遠慮せずに獣医さんに相談してください。

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