猫をひっそりと苦しめる『すい炎』わかりづらいこの病気の特徴や予防法などを解説

猫をひっそりと苦しめる『すい炎』わかりづらいこの病気の特徴や予防法などを解説

猫を苦しめる病気の中で厄介なのが「すい炎」。すい炎は症状が出にくく、気づいたときには病状が進行しているケースも少なくありません。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

1.猫のすい炎の特徴

診察中の猫

猫のすい炎とは、文字通り膵臓に炎症が起きる病気のこと。膵臓は、食べ物を消化するための消化酵素を作り出す器官。本来、作られた消化酵素は膵臓を傷つけないように不活性な状態(稼働していない状態)で作られます。

しかし、何らかの原因で消化酵素が膵臓の中で活性化してしまうと、自分自身の膵臓を消化してしまい、傷つけてしまいます。これが、すい炎の大まかな特徴です。

すい炎には急性と慢性の2種類があります。急性すい炎は激しい痛みを引き起こすことがあり、重症になると合併症を引き起こして命に危険が及ぶこともあります。一方、慢性すい炎は、膵臓に少しずつ炎症が起きますが、急性よりも目に見えた症状が出にくいとされています。

猫の場合、慢性のほうが急性すい炎よりも多いとされていますが、高齢になると慢性のリスクも高くなるため注意が必要です。

2.猫のすい炎による症状

動物病院にいる猫

猫のすい炎の症状は、急性と慢性で異なります。まず、急性の場合は、以下のような症状が現れます。

  • 食欲不振
  • 嘔吐の繰り返し
  • 下痢
  • 震え

また、お腹が痛くなるため腹部を守るような姿勢をとるケースもあるようです。

一方、慢性すい炎の場合は、急性と異なり初期の段階でははっきりとした症状が見られないことがほとんど。

時々、嘔吐や下痢が起こる程度です。病状が進行することで、体重減少や食欲不振が目立ってきます。ただ、必ずではなく慢性でも一時的に急性すい炎のような症状が現れることがあります。

3.猫のすい炎の治療法

動物病院にいる猫

基本的にすい炎の治療は、症状を和らげる「対症療法」が中心。症状に応じて、吐き気を抑える薬や点滴が使われます。

急性の場合、痛みや吐き気を和らげる薬が処方されることが多め。慢性すい炎でも、炎症がひどくなっているときや腸炎など他の消化器官の病気を併発している場合は、それぞれ適した投薬を行います。

4.猫のすい炎の予防法

ご飯を減らされる猫

猫のすい炎に関しては、根本的な原因が判明していません。家庭でできる予防法としては、食事管理をすることを心がけることくらいしかないのが現状です。

脂質は膵臓に負担を与えるため、脂質代謝が衰えてきたことなどが健康診断で分かった場合、低資質のご飯などへの切り替えを検討しましょう。

人間の資質の多いご飯の盗み食いなどにも注意してください。

また、慢性すい炎は気づかないうちに病状が進行しているケースが珍しくありません。そのため、定期的に動物病院で健康診断を受診することも早期発見に繋がります。

まとめ

獣医と猫

猫のすい炎はいまだにハッキリとした原因が分かっていない恐ろしい病気。特に慢性すい炎の場合は、目立った症状が出にくいため気づかないうちに病状が進行しているケースも少なくありません。

すい炎から猫を守るには、日頃からの健康管理が大切。定期的に動物病院で健康診断を受けるのはもちろん、普段から猫に異常がないか観察してあげることも大切です。

今回の記事を参考に、猫がすい炎になりやすい傾向がないかチェックしてみてはいかがでしょうか。

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