猫の『筋力低下』には要注意!考えられる3つの原因と筋力キープ法

猫の『筋力低下』には要注意!考えられる3つの原因と筋力キープ法

今年の11月29日(金)は「筋肉を考える日」です。猫界にもご長寿さんが増えている今、改めて筋肉の働きや低下が招く健康トラブルについて考えてみませんか?筋肉低下の原因や、筋肉維持の方法について徹底解説いたします!!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

筋肉の役割と筋力低下が招く健康トラブル

ジャンプする猫

11月29日(金)は「キンとニクで『筋肉を考える日』」なのだそう。

そもそも筋肉とは、どのような役割があるのでしょうか。また、筋力が低下すると何が起こるのでしょうか。

何となく"体を動かすうえで欠かせない大切なもの"という認識がある筋肉について、ここでは猫にとっての役割やその重要性、低下すると困ることについて掘り下げてみたいと思います。

1.体温を維持する

眠る猫

体温の元になる熱エネルギーは、筋肉の伸縮よって生み出されます。つまり、ある一定の体温をキープする役割を担うのも筋肉というわけです。

筋肉量が多い猫は、少ない猫と比較すると熱が逃げにくいというメリットがあります。

何らかの原因で筋力が低下すると低体温気味になり、免疫力まで低下させてしまいます。風邪を引きやすい状況を招くため、過去に猫風邪を引いた経験がある猫は再燃する恐れがあります。

2.衝撃から身を守るクッションになる

飛び移る猫

骨を包む筋肉には、クッション材の役割もあります。例えば高い場所から飛び降りる際、足にかかる衝撃を吸収してくれます。

このように衝撃から身を守る働きをする筋肉が衰えてしまえば、骨折のリスクが高まります。

3.しなやかな身のこなしを可能にする

運動する猫

猫といえば並外れた運動神経と、アクロバティックな動きが得意な動物です。実は、このような身のこなしを可能にするのも筋肉の活躍あってこそなのです。

人間においても同様なのですが、我々が関節を自由に動かせるのは骨に付着した筋肉の働きによるもの。筋肉が正常に収縮できなければ、体を動かすことが困難になります。

また、運動不足による筋力低下も深刻な事態を招きます。骨と骨の間でクッションの役割を担う筋肉が力を失うと、骨の動きを支えきれずに悲鳴をあげてしまいます。

最終的には関節の動きがぎこちなくなり、負荷をかけた結果、関節炎を患うようになってしまいます。これは痛みを伴うため、猫本人も大変苦痛です。

さらに悪循環は続き、歩くことが億劫になることで膀胱炎などの病気になることもあります。

なぜ筋肉は低下する?

だらける猫

先ほど少し運動不足というワードが登場しましたが、猫の筋力低下をもたらす原因はまだまだ他にもあります。

ここからは、3つの原因と筋力をキープする方法について紹介していきます。

1.加齢によるもの

シニア猫

最も多い原因は加齢です。猫も老いは避けられないので、若々しい見た目でも筋肉は徐々に衰えていきます。それでもまだ諦めてはいけません。

日々の生活の中で筋力を維持することが可能だからです。愛猫がシニアになったとしても、自力でできることはやってもらい、トイレの地位や水飲み場の位置もあえて離した配置にしてください。

適度に距離感を持たせることで自ずと体を動かし、筋力をキープさせられます。

2.ストレスや栄養不足によるもの

警戒する猫

ストレスは万病の元といわれますが、筋肉に対しても悪影響を及ぼします。肉体的もしくは精神的なストレスが持続するとホルモンバランスが乱れ、筋肉を脂肪に変換させてしまいます。

更にストレスが加わることで、今度は体脂肪を燃やす事態となり、より一層筋力が低下してしまいます。

栄養不足もまた、筋力低下を招く一因です。猫の場合は『総合栄養食』が基本になるので、おやつばかりに手をつけず、食事をしっかり取らせるように心がけましょう。

心穏やかに過ごし、肉食動物らしい肉類が主流の総合栄養食を適切に食べる生活を維持するだけで、筋力はある程度キープできるでしょう。

3.怪我による悪循環

怪我をした猫

人間もそうですが、怪我をすると痛みがあり体を動かすことが面倒になってしまいます。猫も同様で、足や爪などを負傷するとあまり動かなくなります。

さらに筋肉が衰えると、これまで通りの動きができなくなり、ますます体を動かすことが嫌になってしまいます。ここから負の連鎖が続き、ゆくゆくは猫本来のジャンプ力までもが奪われることになります。

まずはいち早く怪我に気づくこと。そして適宜診察を受け、早期回復を目指してください。治療後は、無理のない範囲でリハビリを行います。

方法としては、飼い主さんがマッサージをする・猫じゃらしを用いて歩行や方向転換などの動きを促す・軽くジャンプをするように仕向けるなどが有効です。

早期発見→早期治療→早期のリハビリと、スムーズに移行すればするほど本来の筋力を復活させて維持することが可能になります。

まとめ

運動する猫たち

今回は『筋肉を考える日』にちなんで、猫の筋肉をテーマに伝えてまいりました。

猫が得意とするジャンプも、体操選手さながらの動きを可能にするのも筋肉。そして筋力を維持することは、健康長寿に欠かせないということも再認識できたでしょう。

更に、筋肉はただ体を動かすばかりではなく、免疫力の維持や増進にも影響があることもわかりましたね。

5年後も10年後も愛猫が楽しく生活できるように、一緒に筋肉を鍛えてはいかがでしょうか。人間にも共通する部分が多いので、飼い主さんも筋力の維持と増進を目指して頑張ってください!

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