猫を外に連れ出すことの5つのリスク
1.感染症のリスク
猫を外に連れ出すことでの大きなリスクのひとつが、感染症です。
外の環境には猫の健康に悪影響を与えるさまざまなウイルスや細菌が存在し、とくに野良猫や他の動物と接触する機会が増えることで、感染のリスクが高まります。
猫同士が触れ合うだけでなく、同じ場所を歩いたり、排泄物に接触することでもウイルスや寄生虫に感染することも…。
代表的な感染症には猫エイズや猫白血病ウイルス、猫カリシウイルスなどがあり、完治が難しく、命に関わる恐れもあります。
さらにノミやマダニといった「外部寄生虫」も屋外には多く生息しており、感染症を媒介するだけでなく、アレルギー反応や皮膚病を引き起こす原因にもなるのです。
こうしたリスクを防ぐためには、感染症のワクチン接種や寄生虫の予防対策が効果的ですが、完全にリスクを避けるには、そもそも外に連れ出さず、室内で安全に過ごさせる方が賢明でしょう。
飼い主は猫の健康を守るためにも、外出による感染症のリスクをしっかりと理解し、慎重に判断することが重要です。
2.交通事故のリスク
猫は車や自動車の危険性を十分に理解していないため、突然飛び出したり予期せぬ行動をとったりする場合があります。
たとえばリードをつけて散歩をしていても、車のクラクションや動きに驚いて急に暴れ出したり、引っ張ったりして逃走するなど。その結果事故に巻き込まれてしまう危険が生じます。
交通事故は一度起これば取り返しがつかない事態となりかねないため、散歩ではなく室内での活動を工夫し、外出による交通事故のリスクを避けるのがベターです。
3.迷子・誘拐のリスク
猫の散歩中に心配しなければならないリスクとして、迷子や誘拐の問題があります。
突然の大きな音や見慣れない光景に驚いて、ハーネスから抜け出してしまったり、リードが外れたりして、一瞬のうちに姿を消してしまう事態も…。
とくに見知らぬ場所でこのようなことが起きると、自力で家に戻れなくなって、迷子猫になってしまいます。
また「かわいい猫を見かけて持ち去ってしまう」という悪質な誘拐事件もあり、二度と愛猫と再会できないという事態も否定できません。
迷子札やマイクロチップの装着はリスク軽減の一助になりますが、確実な防止策とは言い難いため、できる限り安全な室内環境で生活するのが望ましいでしょう。
4.ほかの動物との闘争リスク
猫を外に連れ出すと、ほかの動物と遭遇し闘争が発生するリスクも考慮しなければいけません。
室外には他の猫だけでなく、犬や野生動物、地域に生息する小動物もいます。
とくにテリトリー意識が強い猫同士の間では、外部の猫が侵入してきたとみなされると攻撃的な反応を引き起こし、闘争に発展するケースがよくあります。
これにより噛み傷や引っかき傷などの怪我を負い、そこから細菌やウイルスが体内に侵入するかもしれません。
猫の健康や安全を守るためにも、できるだけ室内で安心して過ごせる環境を整えることをおすすめします。
5.ストレスのリスク
猫を外に連れ出す際には、猫が大きなストレスを感じることも無視できません。
猫は基本的に環境の変化に敏感な生き物であり、見慣れない場所や匂い、人の往来、騒音などの刺激が急激に増えると、不安や恐怖を覚えることがよくあります。
また猫は自分のテリトリーをもつため、テリトリー外はいわば未知の世界。周りに天敵がいるかもしれないような場所に行くのは、恐怖でしかありません。
そのため猫を犬のように気軽にあちこち連れて行くのは、非常に難しいのです。
もし過度なストレスをかかえるようになると、猫の健康に悪影響を及ぼすこともあり、それが食欲不振や体調不良といった形で表れる場合があります。
そのため、外出の必要がない場合には、なるべく室内で過ごすようにしましょう。
猫の室内でできる発散法
猫のストレス解消と運動不足の解消は、室内でも十分に可能です。以下のような方法で、愛猫の心身の健康を保ってあげましょう。
高い場所の確保
キャットタワーなどを設置し、さまざまな高さでくつろげるスペースを作ってあげましょう。
隠れ家の用意
ダンボール箱やベッドの下など、隠れ家となる場所も用意すると、猫は安心感を得ることができます。
遊び
猫のおもちゃは多種多様です。羽根つきの棒やレーザーポインターなど、猫の狩猟本能を刺激するおもちゃで一緒に遊んであげましょう。
窓際のスペース
外の様子が見える窓辺は、猫にとって魅力的な場所です。猫が安全に外を眺められるように、窓際にベッドを置いたり、猫用のハンモックを設置したりするのも良いでしょう。
ブラッシング
ブラッシングは猫の毛並みを整えるだけでなく、スキンシップを通してストレスを軽減する効果もあります。
これらの方法を試して、愛猫が室内で楽しく過ごせるように工夫してみましょう。
まとめ
猫の散歩については、そのリスクと必要性を十分に検討する必要があります。
多くの場合、室内で適切な運動環境を整えることで、十分な運動量とストレス解消が可能です。
ただしその上で外での散歩を選択する場合は、万全の準備と対策を行いましょう。