1.ストレス解消と気分転換
猫が激しく爪とぎを始める理由で多いのが、「ストレス解消と気分転換」です。猫は非常に感受性が高く、日常生活の中でストレスを感じることが多くあります。
たとえば飼い主の長時間の不在や、家の中での変化(新しい家具やペットの追加など)など。
人間にとっては些細なことでも、猫にとって大きなストレス源となるケースは珍しくありません。
そんなとき猫は爪とぎを行うことで、心の中にたまったストレスやイライラを解放し、気分をリセットしようするのです。
2.葛藤や動揺を紛らわせるため
猫が突然激しく爪とぎを始める背景には、内面的な葛藤や動揺が隠されていることがあります。
たとえばジャンプの失敗、飼い主(または同居猫)に怒られた、キャットタワーなどからの落下など。
このように猫自身が予期していなかった状況になると、猫は自分の気持ちをうまく表現できず、その結果として「爪とぎ」という行動に逃避するのです。
これはいわゆる「転位行動」といわれるもので、全く関係のない行動をして、葛藤や動揺を落ち着かせようとする動物の習性のひとつです。
猫であれば、ほかにもグルーミング・鼻の頭をなめるなどの行動をとりますが、人間なら「やけ食い」や「貧乏ゆすり」などが、転位行動にあたります。
3.運動不足や遊びの不足
猫が突然激しく爪とぎを始める理由として、運動不足や遊びの不足が大きく影響していることがあります。
猫は本来狩りをしたり、縄張りをパトロールしたりと、活発に動く動物です。しかし室内で飼われている猫は、そういった行動が制限されているため運動不足になりがちに。
そして十分な運動や遊びの機会がないと、猫はエネルギー発散の手段として、爪とぎを行うようになるのです。
とくに子猫や若い猫は、遊び好きで好奇心旺盛なため、運動不足になるとすぐに爪とぎを始めたり、いたずらをしてしまうことがあります。
4.飼い主へのアピール
猫は感情表現が豊かでありながら、言葉で直接気持ちを伝えることはできません。そのため、さまざまな行動を通して、飼い主へ自分の気持ちを伝えようとします。
爪とぎもそのひとつで、猫は爪とぎをすることで飼い主の注意を引き、何かを伝えようとするのです。
たとえば遊びたい・甘えたい・食事を要求したいときなどに、飼い主のそばで大きな音を立てて爪とぎをすることがあります。
これは、飼い主にアピールする明確なサイン。自分の存在を飼い主に強くアピールし、何らかの反応を引き出そうとしているんですね。
5.マーキングと縄張りの主張
猫は自分の縄張りを持ち、それを守ろうとする動物。爪とぎは、自分の存在を周囲にアピールし、縄張りを主張する重要な手段のひとつなのです。
猫は爪とぎをする際に、肉球から分泌されるフェロモンを爪痕と一緒に残します。このフェロモンは他の猫に、この場所が「自分のもの」であることを示すサインとなるのです。
つまり爪とぎは、いわば猫の世界における「名刺」のようなもの。自分の存在をアピールし、他の猫に近づかないように警告する役割を果たしています。
とくに新しい猫や人間が家に来た時や、環境が大きく変わった時など、猫は自分の縄張りを再確認するために、より頻繁に爪とぎをすることがあります。
まとめ
猫の突然の爪とぎ行動には今回紹介したような、さまざまな要因が絡み合っていて、単なる悪い習慣ではなく、何らかのメッセージが込められています。
爪とぎは猫にとって自然な行動であり、完全に止めることはできませんが、専用の場所で行えるよう導くことは可能です。
そのため飼い主は、猫の気持ちをくみ取り、適切な対応を取れるようにしましょう。