猫が「閉まったドア」を嫌うのは、“恐怖の3C”のせい?米国の専門家がその理由を解説

猫が「閉まったドア」を嫌うのは、“恐怖の3C”のせい?米国の専門家がその理由を解説

閉じられたドアの前で大声で鳴き、ドアを攻撃する飼い猫。家庭でよく見られる光景ですが、その背景には「猫の不安な気持ち」が隠されています。米国で活躍する専門家らが解説してくれました。

「取り残されたくない」気持ち

ドアの前に立つ猫

画像はイメージです

閉まったドアの前で、鳴いたりひっかいたりする猫を見たことがある人は多いでしょう。前足を床との隙間につっこんだり、ドアを攻撃する猫もいます。なぜそんな行動をするのでしょうか。

「その理由のひとつは、猫が好奇心旺盛で、自分だけ別の場所に取り残されることを恐れるためです」というのは、米国で活躍する動物行動学専門家のKaren Sueda博士です。

「いわゆるFOMO(Fear Of Missing Out=取り残されることへの不安感)ですね。ドアの向こう側にあるものを自分で直接確かめられないという状況が、猫をイライラさせるのです」とKarenさん。

猫は生まれつき好奇心が強い生き物です。自分のなわばりで起きているすべてのことに、目を光らせています。この性癖は野生で生き延びるのに役立ちますが、ときに家のドアを攻撃するなど、人間にとっては奇妙な行動につながることもあるのです。

猫にとっての「恐怖の3C」

ドアの向こうから覗く猫

画像はイメージです

猫の行動専門家Ingrid Johnsonさんはこう話します。

「猫は、餌場など生活上の基本的な場所への通り道や、自分のなわばりをしっかり守る傾向があります。生き残るためには狩りをしなければならないし、ほかから襲われるのを防ぐため安全を確保することも必要です。こうした行動は猫の本能であって、決してわがままなわけではありません」

「ドアが閉まっているのは一時的なのかどうかも猫にはわからないので、とても不安なのです」

猫の行動学者Jane Ehrlichさんは、猫がきらう環境を「恐怖の3C」と表現しました。つまり「選択肢(Choice)がない」「自分で制御(Control)できない」「変化(Change)している」状態です。

「ドアが閉まっていることで、向こう側で起きていることが猫にわからないのが、たまらなく不満なのです」とJaneさんはいいます。

猫の「なわばり」をいつも同じ状態に

閉じたドアの前で待つ猫

画像はイメージです

同時に、ドアが閉まっているときは飼い主から注目されることもありません。大部分の猫は食事やおもちゃよりも、人間との交流を好むといわれます。

「猫は、以前は通れた場所が突然なくなったことにショックを受けます。安心できて、昼寝をしたりご飯を食べたりするお気に入りの場所が奪われたと考えるのです。人間がドアを閉めて猫の選択肢を奪うと、猫はストレスを感じてしまいます」(Ingridさん)

Ingridさんが勧めるのは、家の中で猫が自由に行ける場所をいつも同じ状態に保つことです。たとえば来客のときだけダイニングルームから猫を締め出すのではなく、常に猫が立ち入れないようにしておけば、お互いのストレスにはなりません。

ときには閉まったドアの前で必死に鳴いたり、イカ耳を見せたり、シャーッと威嚇音をたてる猫もいます。これはかなり動揺している状態です。

「そういうときは、何か健康上の問題がないか獣医に診てもらう必要もあるでしょう」とKarenさんは話してくれました。

出典:Why do cats hate closed doors?

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