猫に装着する「マイクロチップ」とは
2022年(令和4年)に改定施行された『動物愛護管理法』により、犬猫の販売業者は犬猫へのマイクロチップの装着と登録が義務化されました。また、すでに犬猫を飼っている一般の飼い主さん対しては「努力義務」という位置づけがなされました。
そもそも猫につける「マイクロチップ」とはどのようなものなのでしょうか。尚、内容は犬猫ともに共通のものとなりますが、今回は「猫」と限定した表記になります。
小さなカプセル状のチップ
マイクロチップ自体は細くて小さなカプセル状の形態です(直径 1.4mm、長さ8.2mm 程度)。これを「インジェクター」と呼ばれる注射器を用いて、猫の首の後ろあたりの皮下に注入します。
チップには15桁のID番号があり、専用の読み取り装置を当てることで、番号及び登録者の情報が分かる仕様となっています。
マイクロチップの寿命は30年程度
マイクロチップ本体の寿命は、およそ30年程度となっています。つまり、途中で体内から取り出して入れ替えるという心配はないと予想されます。
ちなみにマイクロチップが入った状態でも、レントゲン撮影やCT検査などに支障をきたすことはありません。
さらに、装着された猫側にも悪影響を及ぼすことはありません。体内で若干位置が移動する可能性は否めませんが、これが元で死亡した例はありません。
読み取り装置を所持している機関
肝心な読み取り装置ですが、所持している機関は主に保健所や動物愛護センター、動物病院などとなっています。
明らかに純血種と思われる猫(ブリーダーやショップ経由で貰われた子と想定される猫)を保護した際は、一度読み取りを依頼してみることで、元の飼い主さんが見つかる可能性が高くなるでしょう。
愛猫の行方を必死に探している飼い主さんにとっては、ひとまず無事だとわかれば安堵するでしょう。
また、保護した猫の場合でも、飼い主さんが個人的に装着した可能性もあるため、動物病院にマイクロチップ装着の有無を相談してみると良いですね。
猫の「マイクロチップ装着」知っておくべきメリット
私たち一般の飼い主は、『努力義務』という立ち位置のため、絶対に装着させなければならないというわけではありません。
とはいえ、それで本当に大丈夫なのかと不安に思う方も多いでしょう。
先程も紹介したように、「マイクロチップ装着」は猫の体に危険が及ぶものではありません。
- 紛失することがない
- 有事の際に再会しやすくなる
首輪は外から力が加わると外れてしまいます。その点マイクロチップであれば、絶対に紛失することがありません。
また、万が一震災に巻き込まれて愛猫が逃げ出してしまった場合、マイクロチップがあれば飼い主さんの元に帰れる確率が高まります。
猫の「マイクロチップ装着」知っておくべきデメリット
ここまで説明したように、愛猫が行方不明になってしまった際に役立つマイクロチップ。
しかし、次のようなデメリットがあることも同時に認識しておく必要があります。
- 個人情報流出のリスク
- 費用がかかること
- ライセンスの申請が必要になること
マイクロチップの番号及び登録者の情報は、指定機関でリスト化されて管理されることになります。少なからず個人情報が流出するリスクがあるでしょう。
そして、個人的にマイクロチップを装着するとなると、当然費用が発生します。
装着費用は3,000~10,000円程が目安です。装着は動物病院で行うため、この費用は動物病院に支払うものとなります。尚、基本的には麻酔の必要はないものの場合によっては鎮静をかけるケースもあります。そうなると別途費用がかかるでしょう。
ライセンスの申請にも費用がかかります。オンライン申請であれば300円、紙媒体であれば1,000円です。こちらは、情報を管理する指定機関への支払いとなります。
ちなみに、令和4年6月1日以降にペットショップ経由でお迎えした場合は、既にマイクロチップは装着された状態です。しかしこの場合、登録者名はブリーダーさんのものとなっている場合がほとんどでしょう。
そのため、登録者名がブリーダーさんだった場合、氏名の変更手続きを行っておかないと、有事の際に連絡が来なくなってしまうので注意が必要です。この場合はライセンスの申請費のみかかることになります。忘れずに指定機関へご登録ください。
あとはマイクロチップを体内に入れる際にしようするインジェクターの針が通常使用しているような細い針よりも太いためやや痛みを伴う可能性もあります。
まとめ
今回は、猫の「マイクロチップ装着」に関するメリットやデメリットについて解説いたしました。
猫の「マイクロチップの装着」は令和4年6月以降、ペットショップは『義務化』に、そして一般の飼い主は『努力義務』と定められました。つまり、私たち一般人は「推奨するけれど必要に応じて」という立ち位置になります。もちろん装着していなくても罰則はありません。
今後検討している方、また詳しくお知りになりたい方は、かかりつけの動物病院に相談してみてください。
また、もしも猫を保護した際は、マイクロチップが入っている可能性も考慮してみると良いですね。こちらもかかりつけ、もしくは最寄りの動物病院に相談してみてください。