1.狩猟本能がうずくから
猫は薄明薄暮性の動物です。文字通り、明け方と夕暮れどきに活動的になります。なぜかと言うと、明け方と夕暮れどきは、ネズミやウサギ、鳥などの獲物の動きが活発化するからです。
飼い猫になって、たとえ毎日のごはんに困らなくなっても、やはり、野生時代から続くハンター気質は根強く残っています。夜中、何のお知らせもなく、急に大運動会を繰り広げるのは、昔からの狩猟本能に掻き立てられた証拠です。
ある意味、普段は棚の奥のほうにしまってある「野性」をひっぱり出して、ちゃんと機能するかどうか、動作確認しているようなものかもしれません。心置きなくチェックするためには、飼い主さんが眠りに落ちる静かな夜ふけがピッタリです。
2.エネルギーを持て余しているから
「夜の大運動会」は、別名、「真空行動」とも呼ばれています。聞き慣れない専門用語かもしれませんが、本来、発散すべきエネルギーが飽和状態を起こし、何の前触れもなく爆発してしまうことです。
ところ構わずドタドタと走り回ったり、カーテンをよじ登ったり、興奮して植え木鉢を倒したり、行動パターンはいろいろあります。
「真空行動」が目立つのは、一般的に2歳未満の子です。人間に置き換えれば、遊びたい盛りの10~20代前半。口癖のように「ヒマ」「退屈」を連発し、「朝までオール」しても平気な年頃です。
猫にとって「真空行動」は、異常な行動ではありません。あり余ったエネルギーを夜中に発散させているだけです。ただし、その裏側に生活上のストレスや不満を抱えているケースもあります。
次項では、「夜の大運動会」に潜む問題点を明らかにしつつ、対処法もあわせて紹介します。
3.運動不足やストレスが原因かも
前述したように、「真空行動」は、2歳未満の猫に多い行動です。若い猫は元気いっぱいに動き回ります。日々、満足感を得られていれば、もちろん、何の問題もありません。
ただ、飼い主さんが忙しくて、十分にかまってあげられずにいると、ストレスや不満を抱えることになります。
ストレスや不満を溜め込んだ結果、真夜中に突如として暴れ回ることで、猫はあり余ったエネルギーを大放出させます。「もっと動きたい!」「もっと遊びたい!」という猫なりのメッセージです。
「夜の大運動会」は、言葉の代わりに訴えかけるデモ行動のひとつと言えるかもしれません。
対処法は愛猫と適度に遊ぶこと
もし運動不足やストレスが原因で「夜の大運動会」が頻繁に開催されるなら、日頃から、おもちゃなどを使って、1日10分程度、2回以上は遊んであげましょう。
肥満防止やストレス解消につながるうえ、飼い主さんとの信頼関係も向上します。多忙過ぎて遊ぶ時間が確保できない場合は、一人遊びできるおもちゃを活用してみてください。
さらに、キャットタワーの導入など、猫の習性に寄り添う空間づくりを意識すると、日常の中で自然に運動でき、健康維持のためにもうってつけです。飼い主さんの睡眠不足解消は、愛猫の日中の運動量にかかっています。
まとめ
「夜の大運動会」は、猫らしさを象徴するイベントのひとつです。基本的には微笑ましい光景ですが、飼い主さんが睡眠不足になってしまうと、日常生活にも響いてきます。
今回の記事では、なぜ夜ふけに運動会を開くのか、3つの理由を解説しました。解決の鍵を握るのは、日頃から愛猫と適度に遊んで、しっかり動いてもらうことです。
また、一般的な傾向では、年を重ねるにつれ、「夜の大運動会」の頻度が減る傾向にあることも、あわせて覚えておきましょう。