猫のあごに『黒いツブツブ』は病気のサイン?やっかいな「あごニキビ」への対処法

猫のあごに『黒いツブツブ』は病気のサイン?やっかいな「あごニキビ」への対処法

猫のあごにできる黒いツブツブ、なかなか取れずに気になっていませんか?飼い主さんを悩ませるこのツブツブは、実は比較的よくある皮膚トラブルなのです。とはいえ、軽視は禁物。重症化すると、かゆみや痛みで猫にとって大きなストレスとなってしまいます。そうなる前に、猫のあごニキビの原因や日頃のお手入れ法についての理解を深めておきましょう。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫のあごの黒いツブツブって何?

猫のざ創

猫のあごの黒いツブツブは、医学的には痤瘡(ざそう)といいます。毛包炎や毛包閉塞が原因で発生する皮膚トラブルの一種で、一般的には「猫ニキビ」や「あごニキビ」などと呼ばれています。

猫のあごの下には、皮脂腺が集中しており、この部位が特に影響を受けやすいため、あごニキビと呼ばれますが、実際には鼻先から口までのマズルの部分やヒゲ袋あたりにまでおよぶこともあります。

おもな原因は、皮脂の過剰分泌や細菌感染、ホルモンバランスの影響、接触性の刺激によるものなどがあげられます。一方、一度の診察で原因を特定するのは容易ではないため、「特発性(=原因不明)」とされることもすくなくありません。

飼い主さんが見えている黒いツブツブは、毛穴に皮脂や老廃物が詰まったものや色素沈着などが可能性として考えられます。軽度であればかゆみなどもないため、猫自身も異変を感じることがありません。

ただし、重症化すると炎症などにより、猫もかゆみなどの不快感から後ろ足で掻いて傷つけてしまう可能性があります。悪化したり慢性化すると脱毛や化膿が生じて治りにくくなるため、早期発見と適切な対処が重要です。

あごニキビの対処法

顎を拭かれる猫

猫ニキビの対処法として最も効果的なのは、患部を清潔な状態で維持すること。黒いツブツブは、定期的なふき取りでキレイにすることが可能です。

方法は次のとおりです。

  • ぬるま湯に浸したコットンでふきとる
  • 泡立てた猫用の薬用シャンプーで洗浄して洗い流す

あごニキビは油分を含む可能性もあるため、冷たい水ではきれいに落とせない場合があります。人肌のぬるま湯を使いましょう。

シャンプーは猫が嫌がることもあるので、様子を見ながら進めてください。洗い流さないタイプのシャンプーでふき取っても良いでしょう。

また、洗浄後は細菌の増殖を防ぐために、水分や洗浄剤などが皮膚や被毛に残らないように、しっかりふき取って乾燥させましょう。

もし、猫にかゆみ、脱毛、出血などが見られるようであれば、ふき取りが刺激になる可能性があります。自宅でケアする前に一度病院で診察してもらってからにしてください。

日常的なケアにおける注意点

コームで顎のお手入れをされる猫

猫のあごニキビは、慢性化しやすく、病院で処方される抗菌薬でも完全には完治しないこともしばしばあります。そのため、自宅でのケアがとても大切になってきます。

黒いツブツブは、あごの被毛が白い猫ほど目立ってしまうので、すぐにキレイにしたくなってしまう飼い主さんも多いことでしょう。しかし、一日に何度もシャンプー洗浄をしたり、ゴシゴシこすったりするのは厳禁です。

ぬるま湯でのふき取りは、毎日行っても問題ありません。ただし、シャンプーを使用する場合は、ふき取りやすすぎが必要で皮膚に負担がかかるため、その子の体質や汚れ具合にもよりますが、週に1〜2回程度に留めることをお勧めします。「やさしく」「少しずつ」「丁寧に」がポイントです。

黒い着色は皮膚のコンディションにも関係がある場合もあるので、より良い状態を維持しやすいようなキャットフードへの見直しも有効かもしれません。

まとめ

顎を撫でられる猫

猫のあごの黒いツブツブは、見た目だけでなく、猫の健康にも影響を与える可能性がある皮膚トラブルです。

原因は複雑で特定するのが難しいものの、日々のケアを続けていくことで、ある程度の予防や改善が可能です。まずは病院で診察してもらうといいですね。

そして、患部の清潔さが何より大切ですので、食後や生活環境に合わせた洗浄や、優しく丁寧なスキンケアを心がけるようにしましょう。

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