猫が『鉄分不足』になったら?3つの症状と対処法 上手に摂取するための方法も

猫が『鉄分不足』になったら?3つの症状と対処法 上手に摂取するための方法も

鉄分不足が健康上の問題になるのは、人間だけではありません。猫の場合も同じです。今回は、鉄分不足に陥ると、猫にどんな症状が表れるのか、3つに分けて解説します。適切な対処法もあわせて紹介するので、ぜひ最後まで一読してみてください。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

1.貧血を起こす

ヘモグロビンテスト

人間でもそうですが、猫の身体にとっても、鉄分は非常に重要です。まず、鉄分の基本的な役割を覚えておきましょう。

鉄分の主な働きには、全身へ酸素を運ぶ、老化の原因となる活性酸素の分解、免疫力維持などがあります。

何らかの理由で鉄分が不足すると、猫は貧血になります。貧血とは、赤血球中のヘモグロビン濃度が薄くなった状態のこと。

ヘモグロビンは、全身へと酸素を行き渡せる、いわば「運び屋」です。鉄分が欠乏すると、十分な量の酸素を運べなくなり、貧血症状を引き起こします。

貧血には、失血性貧血、溶血性貧血、腎性貧血、骨髄の病気など、さまざまなケースがありますが、鉄分不足の場合は、「鉄欠乏性貧血」と分類されます。ちなみに、タマネギ中毒で有名なのは、溶血性貧血。赤血球が破壊され、深刻なレベルになると、死に至る危険があります。

2.疲労感とふらつき

ぐったりするベンガル

鉄分不足による貧血で代表的な症状は、極端に疲れやすくなることです。いつもは活発に動き回るのに、何となく元気がない、あるいは、じっとしていることが多い。いわゆる「運動不耐性」になった場合は、もしかすると貧血状態が原因かもしれません。

全身を円滑に動かすためには、身体の酸素要求量を満たすことが必要です。前述したように、赤血球のヘモグロビンは、酸素の「運び屋」。

猫であれ、人間であれ、ヘモグロビンが酸素をせっせと全身へと運んでくれるからこそ、脳をはじめ、内臓、筋肉などが問題なく活動できるわけです。

ヘモグロビンの働きが滞ると、体内が酸素不足に傾き、疲れやすさ、だるさ、食欲不振などの症状をあらわします。人間の貧血でもよくあるふらつきもそのひとつ。ときに呼吸が荒くなることもあります。

3.口の中が白っぽくなる

猫の歯茎

前項で挙げた症状は、他の病気と区別がつかず、鉄分不足が原因かどうか正確に判断するのは、難しいかもしれません。見た目でわかりやすいのは、口の中の変化です。

正常時は薄いピンクですが、貧血になると、歯茎や舌が白っぽく変色します。鉄分不足のため、赤い色素を持つヘモグロビンの濃度が薄まるからです。

シンプルな判断基準なので、愛猫の口内の色が変化していないか、日頃からこまめにチェックしましょう。

食生活の改善がいちばんの対処法

鉄分を含む食材

もしみなさんの愛猫が鉄分不足による貧血状態に陥っているなら、食生活の改善が最も効果的な対処法です。フードが一般食に傾きがちだった場合、総合栄養食をメインにしてください。

また、鉄分が豊富な食材をコンスタントに適量、摂取するのも効果的です。具体的な食材で言うと、動物性では、牛や鶏などのレバーや魚介類、卵、植物性では、小松菜やほうれん草などが挙げられます。

ポイントは、どの食材であれ、必ず加熱したうえで提供することです。適量を超えない配慮も非常に大事。結石の原因になったり、過剰症を引き起こす恐れがあります。

たとえば、マグロやカツオ、サバなどの魚を与え続けると、不飽和脂肪酸の過剰摂取につながり、黄色脂肪腫(イエローファット)にかかることもあります。

食材アレルギーを見極めつつ、かかりつけの獣医さんとも相談しながら、愛猫にいちばん適切な食事法を見つけてみてください。

まとめ

元気のない猫

結論から言うと、猫の鉄分不足は、貧血症状を引き起こします。貧血になると、疲れやすい、ふらつく、食欲がない、などの状態になりがちです。

さらに症状が進むと、口の中が白っぽくなります。特に歯茎の色の変化は見つけやすく、もし変色していたら、貧血を疑ってもいいでしょう。

いずれにしても、愛猫の異変に気づいた時点で、動物病院へ迷わず問い合わせてみてください。

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