1.暗がりでも平気で歩ける
猫のヒゲの根元には鋭い神経が集中していて、モノだけでなく、空気の流れや振動さえも繊細にキャッチします。いわば、高感度のセンサーのようなものです。
収集された情報はただちに脳へと送られ、猫が行動を決めるうえで、非常に有効な判断材料になります。
猫が暗いところをスタスタ歩けるのも、夜行性の視覚とともに、高性能なヒゲがあるからです。ヒゲで空気の流れを読み取りながら、巧みに障害物を避け、前へとスムーズに進んでいきます。別名「触毛」と呼ばれる由縁です。
また、顔のまわりにある5種類のヒゲ(目の上や頬、口元など)を線で結ぶと、ちょうど円のような形になるのもポイントです。
この円内であれば、狭いところでも猫は「通過可能!」と判断します。猫の空間認識力を支える大切な要素です。
2.天気の悪化を事前に察知できる
猫のヒゲは、まわりのモノとの距離感を測るだけではありません。気温や湿度の変化も敏感にとらえます。たとえば、天気の悪化を事前に察知できるのも、やはり、ヒゲがあればこそです。
低気圧が接近すると、猫のヒゲは湿気を含んで張りがなくなります。張りが失われたままだと、前述したようなヒゲ本来の機能が十分に果たせません。狩りの際にも不都合です。
張りを正常に保つために猫が何をするかと言うと、顔のまわりをしきりにこする、つまり、ヒゲのお手入れです。その行動が、俗に言う「猫が顔を洗うと雨が降る」という常套句の由来になっています。昔の人たちは、冷静な観察力により、猫の天気予報力を知っていたわけです。
3.感情表現のツールとして
意外に饒舌(じょうぜつ)なのが猫のヒゲです。心理状況によってヒゲの様子が微妙に変化します。通常モードは、緩やかな弧を描きつつ、やや外側に垂れ下がっている状態です。
一方、恐怖や不安に駆られたときは、ヒゲの動きをコントロールする口元の筋肉が緊張するため、頬側に少し接近したような位置に変わります。この場合、非常にナーバスな心理状態なので、むやみに刺激しないことが肝心です。
興奮やワクワク感が先に立つ場合は、まるで意志を持った生き物のように、ヒゲが前のめりになります。より多くのことを知ろうとして、対象物にヒゲを近づけるからです。好奇心を表す猫なりのアプローチと言えるでしょう。
まとめ
猫らしさを象徴するヒゲには、実は、高精度な感覚センサーが搭載されています。暗くて狭いところをためらいなく通り抜け、人よりも早く天気の変化に気づけるのも、すべてヒゲの「仕事」のおかげです。
さらに、ヒゲの角度を変えることで、自分の気持ちまでも表現できます。
今回の記事をきっかけに、改めて愛猫のヒゲの変化に注目してみてください。