英国ですばらしい活躍をする猫たちを表彰
2024年の「National Cat Awards」(英国最高の猫)に最終ノミネートされている2匹の優秀な猫たちをご紹介しましょう。この賞は慈善団体「Cats Protection」が主催するもので、猫と人間の絆に焦点を当てたものです。
今年の賞には、「つながり猫(Connected Cats)」「家族猫(Family Cats)」「シニア猫(Senior Cats)」「驚異の猫(Incredible Cats)」の4部門があり、それぞれ優秀な猫と総合優勝の猫を選ぶことになっています。
今回ご紹介するのは、このうち「驚異の猫」賞の最終選考に残った2匹です。
被害女性を慰めるやさしい猫
「驚異の猫」賞候補になっているのは、白黒猫の「Marley」(7歳)です。この猫は「Caritas Bakhita House」に住んでいます。ここは奴隷として扱われたり、人身売買の被害を受けたりした女性が避難するシェルター施設で、ロンドンに位置しています。
施設長Karen Anstissさん(59歳)はこう話します。
「Marleyは、特別にやさしい猫です。現在ここで暮らしている11人の女性に、安らぎと希望を与えてくれています。やってきた女性の足元にこの猫がそっと前足を置くことで、不安な心も落ち着くといいます」
「Marleyには、信じられないほどすばらしい『共感力』があるのです。自分を必要としている人間を本能的に見分けることができます。4年前にこの猫を引き取りましたが、それ以前はたぶんこの猫自身が虐待を受けていたのだと思います。だから30歳前後の男性を見ると、いまでもとても怖がります。でもそうした経験があるからこそ、女性たちの心の傷をより深く理解できるのでしょうね」
テロで精神を病んだ飼い主を支えた猫
茶白猫「Marmaduke」も、「驚異の猫」部門の最終選考に残っています。
飼い主でNorden(Greater Manchester地域)に住むJanice Cheethamさん(64歳)は、マンチェスターで起きた「歌手アリアナ・グランデ コンサート会場襲撃事件」の際に救急救命士として出動しました。
2017年5月22日に起きたこの事件では、22人もの命が失われました。現場での自分の無力感に、深く傷つき落ち込んだ精神を救ってくれたのは、彼女の飼い猫Marmadukeでした。
「苦しい心を抱えている人には『ぜひ茶白猫を飼ってみて』とアドバイスしたいですね。この猫がいなければ、うつ状態の私もどうなっていたかわかりません」というJaniceさんです。
この賞は一般からの投票で決定されます。投票期間は8月30日までです。部門優勝と総合優勝の猫たちは、9月18日にロンドンの「One Marylebone」で行われる式典で発表されることになっています。