1.ごはんのミスマッチング
猫の食に対する基本方針は、ひとつのフードに頼らないことです。野生の世界では、獲物の種類を限定してしまうと、環境の変化などで数が激減した際に、命を落とす危険があります。
生き延びるためには、多種多様な獲物を「食料」として勘定に入れることが重要です。急にいつものフードを食べなくなるのは、気まぐれではなく、野生時代から続く生存本能と言っていいでしょう。
猫はごはんの好みにシビアです。気に入らなければ、見向きもしません。ただ、拒否しないまでも、我慢して食べていることもあります。その場合は、香りや食感が好みではないか、同じメニュー続きで飽きている可能性が高いです。
猫にとってのごはんは、一日の中でも最大の喜びです。そこで我慢させてしまうと、少なからずストレスが溜まります。
もし食べ渋っているようなら、好みのフードを何種類か用意したうえで、ローテーションで回してみてください。ドライフードがメインであれば、嗜好性の高いウエットフードを活用するのも効果的です。
2.身体の不調や痛み
猫は自分の弱味を隠したがる動物です。野生時代からの本能で、隙を与えれば、外敵にたちまち襲われてしまいます。イエネコとなった今も、基本的な習性は変わりません。
体調が悪かったり、ケガをしたり、何らかの不調があっても、猫は平静を装います。飼い主さんが気づかない間、ひとりで痛みや違和感に耐えているわけです。異変がはっきりとあらわれる頃には、かなり状態が悪くなっているケースさえあります。
愛猫の異変に気づくコツは、普段から様子や行動をよく観察することです。通常の状態を把握しておけば、何かあったときにも「変化」として認識できます。
また、撫でたり、触ったり、身体的接触を習慣化しておくと、毛並みの調子から健康状態を確認でき、乳腺腫瘍などの深刻な病気にもいち早く気づけます。
3.同居猫との関係性
多頭飼いの状況では、同居猫に我慢を強いられていることもあります。ごはんの横取りや猫ベッドの占有、トイレの共用などが一般的な例です。
犬と違い、猫には猫同士の明確な序列意識はないものの、力関係は確かに存在します。自分より身体が大きく、力も強い相手に対し、何かと遠慮しがちです。
ごはんを横取りされても素直に譲り、お気に入りの猫ベッドを独占されても、文句のひとつも言いません。
「おとなしい子だから…」と飼い主さんが安易に考えていると、遠慮する愛猫がストレスを溜め込み、体調を崩す心配もあります。状態が悪くなる前に、適切な対応が不可欠です。
もし同居猫への配慮が目立つようであれば、ごはんを別々に用意する、生活空間を分ける、猫ベッドやトイレの数を増やすなどの対策を試してみてください。
まとめ
猫にとってストレスは厳禁です。積もりに積もって、体調悪化、病気などにも直結しかねません。ストレスの悪影響を踏まえ、今回は、3つの我慢ポイントを紹介しました。
知らない間に我慢させ、愛猫がストレスフルな状態に陥っていないか、飼い主さんは暮らしぶりを改めて見つめ直してみましょう。毎日、愛猫をよく観察し、触れ合っていると、異変にも気づきやすくなります。