1.猫の嗅覚は人間のおよそ数万倍!?
猫の嗅覚は聴覚の次に優れた感覚器であり、人間と比べるとおよそ数万倍ともいわれています。
実際に嗅覚を数値化することは難しく、種差もあるため一概には言えませんが、ニオイを感じ取る嗅上皮の面積は人間の約5倍、嗅神経細胞の数は約4倍存在し、嗅覚受容体のレパートリーも人間より豊富なため、人間に比べると嗅覚が遥かに発達していることが分かります。
このため、人間にはわからないようなニオイも猫は敏感に感じ取ることができるのだそうです。
猫はニオイを嗅ぐことで色々な情報を得て、さまざまなことを判断しています。
「食べ物が腐っていないか」「毒はないか」「食べても安全なものか」など、嗅覚は猫が生きていくうえで重要な役割を果たしているといえます。
2.ニオイをキャッチしやすいように鼻が湿っている
私たち人間の鼻の中には鼻毛が生えていますが、猫の鼻には鼻毛がありません。
人間の鼻毛には、ほこりやウイルスの侵入を防いだり、鼻の中の湿度を保って粘膜が乾燥しないように守る役割があります。
一方で、猫の鼻は、鼻毛の代わりに「鼻粘膜」と呼ばれる粘膜で覆われています。この鼻粘膜には繊毛と呼ばれる細かく短い毛が生えているため、異物やウイルスの侵入、鼻の乾燥を防ぐことができるのです。
猫の鼻は湿っているほうがニオイの分子をキャッチしやすくなるため、ニオイを感じやすくなるといわれています。
3.猫同士でニオイを嗅ぎ合う
犬は、お互いのお尻のニオイを嗅ぎ合って挨拶をしますが、猫の場合は、まずお互いの鼻をくっつけて挨拶をします。
鼻をくっつけることで「敵意はありません」と、相手に伝えているのだそうです。
それだけでなく、猫は鼻をくっつけて挨拶を交わしながら相手のニオイを嗅ぐことで、お互いの情報を交換し合っているといわれています。
体を近づけすぎないように距離を保ったまま、できる限り首を伸ばしてお互いの鼻と鼻を近づけて相手のことを知ろうとします。
性格や相性によってこの挨拶が成立せず、逃走したり喧嘩に発展したりすることもありますが、基本的なコミュニケーションとしてニオイを嗅ぐという行動は猫にとってとても重要なものなのです。
相手のニオイを嗅ぎながら、年齢や性別などの情報を収集しているのだそうです。
4.ニオイを感じるのは鼻だけではない!?
猫がニオイを感じられるのは鼻だけではないことをご存知ですか?
猫には「ヤコブソン器官」と呼ばれる器官が備わっています。
このヤコブソン器官は、上あごの前歯辺りにある小さな穴を指し、微かなニオイやフェロモンを嗅ぎ分けることができるのだそう。
発情期に異性のニオイを嗅ぎ分けたりテリトリーを把握するため、ヤコブソン器官は重要な役割を果たします。
ヤコブソン器官でニオイやフェロモンを感知すると、口を半開きにしたような表情の「フレーメン反応」が見られます。口を半開きにする独特の表情は、ニオイをヤコブソン器官に送り込んでいるときの表情なのです。
フレーメン反応は、猫と一緒に暮らす飼い主さんは目にする機会が多い仕草かと思います。
「そんなに臭かった?」と思わず心配になるようなユニークな表情を見せますが、臭いものを嗅いでフリーズしているのではなく、猫なりに相手の情報を収集しながら分析をしている最中ですので、心配いりません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、猫の「嗅覚」についてご紹介いたしました。
猫の嗅覚は、私たち人間が想像しているよりも何倍も複雑であり、優れていることがわかりました。
ただ単にニオイを嗅ぐだけでなく、猫はニオイを通じてさまざまな情報を収集したり、猫同士のコミュニケーションに嗅覚を役立てています。
そのため、嗅覚は猫にとって非常に重要な感覚器のひとつです。
ただし、人間にとっては大したことないニオイであっても、猫にとってはニオイを強く感じてしまう可能性もありますので「ニオイのあるもの」を扱う際は十分注意してくださいね。