1.「うれしいことが待っている!」と思わせる
犬は褒められることに喜びを感じる動物ですが、猫は犬と少し違います。猫にとって重要なのは、褒められることよりも、心地よさや楽しさを得ること。たとえるなら、犬は飼い主さんに褒めてもらいたい動物で、猫は飼い主さんに要望を叶えてもらいたい動物といったところでしょうか。
だからこそ猫を褒めるときには、「褒める行為」そのものではなく「ご褒美」が重要。「この後うれしいことが起こる」という期待を与えることが大切なのです。「飼い主さんがこの言葉を出した後はおやつがもらえる」「この声のときには遊んでもらえる」など、褒められることでご褒美があることを連想させるようにしましょう。
ただし、猫は褒めることで愛情を感じる動物でもあります。愛猫との良好な関係が築ければ、「褒められる=気持ちよいところを撫でてもらえる」との認識がうまれることも覚えておきましょう。
2.短い言葉を使う
猫には言葉という文化がないので、人間の言葉を理解できません。
しかし、可聴域が広く聴力に長けているので、細かい音を聞き分けることができます。人間の言葉の意味はわからなくても、日々繰り返されるやりとりの中で「この音(声・言葉)が聞こえたら良いことがあるぞ」「この音(声・言葉)は嫌なことが起きる…」と認識できるようになります。
だからこそ、猫を褒めるときも、叱るときも、言葉は短くするのがコツ。褒めるときは「いいこね」「カワイイね」「オッケー!」、叱るときも「ダメ!」「こらっ!」「NO!」など完結な言葉を選びましょう。
また、声のトーンにメリハリをつけるのもポイントです。褒めるときは優しく穏やかに、大きく声を出しすぎないように。
一方、叱るときにはいつもよりもやや低めの声でボリュームも少し大きくするのがおすすめです。いつもと違う様子の声が、猫に違和感や緊張感を与えますよ。
3.叩いたり怒鳴ったりするのはNG
猫が叱られる場合は、飼い主さんが急いで止めに入りたくなるシーンが多いものです。
たとえば、大切な家具に爪とぎをしたり、人間の食卓を荒らしたりなど、緊急で阻止するために、思わず怒鳴ったり叩いたりしてしまいそうになることも…。
しかし、大至急止めに入らなくてはならない場合でも、猫に怒鳴ったりするのはNGです。愛猫から怖い人だと思われてしまうことがあるからです。また叩くのはもってのほかで、一度叩いてしまうと猫との信頼関係が崩れ、以後、猫から嫌われてしまうおそれがあります。
猫は生命を維持するために、一度体験した恐怖体験は忘れず、その後の危険を回避するという性質をもちます。だからこそ一度嫌われてしまうと、なかなか心の距離を縮めることが難しいため気をつけましょう。
まとめ
猫は学習できる動物ではありますが、忘れやすい一面があるのは確かです。
しかし猫は「心に大きく響いた出来事」については忘れにくい動物。ただし、それはネガティブなことに限らずポジティブな感情にも同様に言えること。楽しいこと、おいしいもの、不安、恐怖などまで、プラスもマイナスも覚えるのです。
だからこそ、愛猫を上手に褒めて、叱るときには怖がらせないようにすることが重要です。
また、猫は時間が過ぎてしまうと「なぜ怒られたのか」「なぜ褒められたのか」がわからなくなります。褒めるときも叱るときも、可能な限りリアルタイムで行うようにしましょう。