1.精神的なストレスを軽減してくれる
通勤電車や家事や仕事の忙しさ、季節の変化によっても、黙っていても溜まってしまうのがストレスです。心の疲れは知らない間に健康を害してしまうことも。
しかし人は猫とのふれあいで「オキシトシン」というホルモンが分泌されることがわかっています。
「幸せホルモン」「やすらぎ物質」と呼ばれるこのホルモンには、抗ストレス作用やイライラからの過剰な食欲を抑える効果があるのです。
この抗ストレス作用の特徴としては、特に「不安」な気持ちを軽減することで、結果として、対人関係や社会行動へのストレスを減少させると考えられています。
さらに、猫がゴロゴロと喉を鳴らすその音も、私たちの心を癒してくれます。猫のゴロゴロ音は20〜50ヘルツという低周波で、海の波の音のように気持ちをリラックスさせる作用があるのです。
さらに、この音は痛みを軽減する鎮痛作用や、骨折や傷の治癒効果もあると考えられています。
2.身体も健康にしてしまうかも
猫と過ごす効果は、精神面だけでなく身体の健康にも良い影響があります。
猫を撫でるなど直接触れ合うことで、血圧や心拍数が安定し、心臓発作や脳卒中のリスクを低下させることがわかっています。
これは「コルチゾール」というストレス時に分泌されるホルモンが抑制されるためで、前述した抗ストレス作用とも連動しています。
さらに、猫と一緒に遊ぶと、脳の一部が活性化するともいわれています。
研究によると、記憶力や感情と行動の抑制をつかさどる前頭前野は、おもちゃを使用した遊びやハイタッチ、回転などのトレーニングをする方が活性化することがわかりました。
単に猫に食事を与えたり、撫でるだけよりも、猫の意志が反映される遊びの方が効果は高いとされています。
前頭前野が活性化されると、感情と行動のコントロール、情報の管理能力や問題解決力などが高まるといわれており、これにより健康生活への動機付けや継続がしやすくなるのです。
ケースによっては、「猫と遊んでダイエットに成功!」なんてこともあるかもしれません。
3.猫を通じて世界が広がる
猫は人間の言葉を話しません。しかし、多くの飼い主さんたちは、愛猫の言いたいことをなんとなく理解しています。
それは、猫が体の動きや表情、鳴き声のトーンなどで気持ちを伝えてくるため、飼い主さんたちが猫の気持ちを理解しようと日々注意深く観察しているからです。
このような言語を介さないやりとりを、「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」といいます。言語を使ったコミュニケーションを超えて、感情やメッセージの強さを伝える役目をしています。
そのため、猫とのやり取りを積極的に行う人は、人間関係においても他者の非言語的なサインを読み取る能力が向上するといわれています。
さらに、猫のお世話をすることで、責任感や相手への共感性が育ち、他者や、ほかの猫や動物たちへの理解が深まります。
これまでは、猫の飼い主が家の中だけで猫との関わりを楽しんでいました。しかし、猫カフェの登場により、猫を飼っていない人でも猫とも過ごせるようになりました。
また、SNSでは猫の写真や動画を共有することも一般的になっています。なかには、猫を通じて猫好きの人々が集まり、猫について話し合うことで新しい友人関係が生まれることもあります。
こうして猫を介して、人と人がつながりを作るような機会は、猫が与えてくれる良い影響のひとつといえるでしょう。
まとめ
今回は猫が人間に与える良い影響について、科学的な研究をもとに説明しました。
猫はただかわいいだけでなく実際に触れ合うことで、心や体、そして人同士の関わり方にまで、いろいろな良い効果があることがわかってきています。
猫との関わりは、ストレスを軽減して心を落ち着かせてくれますし、実際に体の健康にも良いといわれています。また、猫との遊びには、脳を活性化させる効果もあるようです。
自立した動物の猫ですが、毎日のお世話はかかせません。猫のお世話をすることで、人は責任感や思いやりを育み、これらは人間関係にも良い影響を与えるでしょう。
猫との生活は、暮らしをより豊かで健康的なものにしてくれます。猫が持つ不思議なパワーは、猫自身でさえ気付かないうちに、私たちを豊かにしてくれているのでしょうね。