1.猫のしっぽの役割
実は猫のしっぽは、バランスをとる・感情を表す・マーキングをするといった、多くの重要な役割を担っています。
バランスをとる
高所・細い塀の上・木の枝など、人間なら恐ろしくて歩けないような場所を、猫は軽々と歩き回りますよね。なぜ猫はこれほど高所に強いのでしょうか…その秘密が、しっぽにあります。
足場が悪い場所を歩くとき、猫はしっぽをカウンターウェイトとして使います。たとえば狭い塀の上では、体が少し右に傾いたらしっぽを左に振り、左に傾いたらしっぽを右に振ったりと。
この動きにより体の重心を調整し、バランスを保つのです。人が綱渡りをするときに、両手を広げるのと同じことですね。
また猫は素早く方向転換したり、高いところから飛び降りたりしますが、このときもしっぽはバランスをとる役目を担っています。
感情をあらわす
猫は鳴き声や表情、耳の動きといったさまざまな方法で気持ちを表現します。しかしそのなかでも表現が豊かでわかりやすいのが、しっぽの動きです。
猫は視力が悪いため、ぼんやりとしか見えません。しかししっぽを見れば、遠くからでもそのシルエットを認識できるので、相手の気持ちを読み解くことができます。
猫同士はもちろん、飼い主に対してもしっぽで気持ちを表現するため猫のしっぽが語る気持ちをいくつか知っておくと良いでしょう。
たとえば…
- 喜び→ピンとたてる
- イライラ→左右にバタバタ振る
- びっくり→ふくらませる
- 遊ぼう→U字になる
- 警戒→体に沿わせて巻く
- 恐怖→股の間に隠す など
こういった感情は猫のしっぽからある程度読み解くことが可能なので、愛猫とコミュニケーションをとるときにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
マーキング
猫は、自分の縄張りや所有物をマーキングする習性を持っています。これは野生時代の名残で、自分の存在や領域を他の動物に知らせる重要なものです。
そして実は猫のしっぽの付け根にはニオイの分泌腺があるのですが、猫はそこから自分のニオイを周囲につけて、テリトリーを主張します。
人間の鼻では検知できませんが、猫が嗅ぎとれるその猫固有のニオイがついた分泌物で、所有物や縄張りを主張できるのですね。
この行動は、飼い主に対してもよく見られます。帰宅すると猫がしっぽを立てて近づいてきて、飼い主の足にしっぽを絡ませてきませんか?
このとき実はしっぽから出たニオイを飼い主に付着させ「これは私のもの」とマーキングしているのです。
帰宅後の飼い主からは自分のにおいがしないので、慌ててにおいをつけにきているのでしょう。
2.猫のしっぽには種類がある
猫のしっぽの形にもさまざまなバリエーションがありますが、代表的な形には以下のようなものがあります。
長いしっぽ(長尾)
よくみられる一般的な形です。現在では長尾以外のしっぽもありますが、本来の猫は「長尾」だけだったともいわれています(野生化ではしっぽがないと生存が難しかったため)。
短いしっぽ(短尾)
しっぽはあるものの、とても短いしっぽです。アメリカンボブテイルやジャパニーズボブテイルなどの品種は、遺伝的な要因により、短いしっぽを持っています。
カギ尾
折れ曲がっているしっぽのこと。「カギしっぽ」ともいわれます。先天的に骨が変形しているため痛くはありません!東南アジアでよく見られるのだとか…。
尾なし
マンクスという品種の猫は生まれながらしっぽを持っておらず、ぴょんぴょん跳ねるようにして歩きます(マンクスホップ)。
日本ではめったに見られない品種ですが、世界的には丸っこい見た目で人気の猫です。
3.猫のしっぽの長さのギネス記録は44㎝
「最も長いしっぽを持つ猫」のギネス記録は、アメリカのメインクーン、シグナスです。2018年にギネス世界記録に認定され、世界中の猫好きを驚かせました。
シグナスのしっぽの長さは、なんと44.66cm! 一般的な成猫のしっぽが25cm前後であることを考えると、その長さの驚異さが分かるでしょう。
ちなみにメインクーンの体長は平均1mなので、しっぽの長さは体長の約45%に達しています。
残念ながらシグナスは自宅の火災ですでに亡くなっていますが、いまだにシグナスの記録をやぶった猫はいないようです。
あなたの愛猫のしっぽの長さは44cm以上ありませんか?ぜひチェックしてみてください!
まとめ
猫のしっぽは単にかわいいだけでなく、さまざまな役割を持つ重要な器官です。バランスを保つための道具として、マーキング、感情表現の手段としても機能します。
またしっぽの長さに関するギネス記録やしっぽのない猫種など、驚きのトリビアも数多く存在します。
今回紹介した内容を参考にしながら、猫のしっぽに関する知識を深めて愛猫とのコミュニケーションの質を向上させましょう!