1.聴覚「情報収集」
猫の五感の中で最も優れているのは、「聴覚」です。
猫は細かい音域を聞き分けることができ、「可聴領域」は人間の3倍以上で、人間には聞き取れない音や細かい音質の違いなどを聞き分けることができます。
さらに、猫は耳を前後左右に180度動かすことが可能で左右それぞれの耳を個々に動かすことができるため、集音力にも長けているのです。
そのようなことから、猫は耳で情報収集すると考えられます。『猫がキャッチする情報の40%は、聴覚からインプットされるとも言われているほどです。だからこそ、猫は離れた位置にいる虫の動きを把握できたり、飼い主さんが家に入る前の音を理解したりすることができます。
ただし、音域だけではなく音の大きさも人間より聞こえるようで、『猫には人間の8倍ほどのボリュームで聞こえる』という説も。飼い主さんが帰宅すると嬉しい反面にぎやかになるため、猫にとって家族のいない時間は、静かに過ごせる休憩時間なのかもしれませんね。
2.視覚「聴覚の補助」
猫は意外にも視力はよくありません。人間の平均視力1.0と比較すると、猫の視力は0.2~0.1ほどの近眼タイプ。猫は6メートル以上離れたものはぼんやりと映るていどなのです。このことからも、猫がオモチャや獲物を追いかけるときは「目ではなく耳で発見」していることがうかがえます。
さらに猫は、人間と比べると色を見分ける能力が乏しいです。青系、緑系は識別できるようですが、赤系やピンク系は判断しがたく、暖色系であれば黄色は見えるとされています。ただし暗闇の中で見る力は高く、暗視カメラのような見え方になります。
猫が目で見る光景は、人間の感覚でいうとお世辞にも「美しい世界」とは言えません。しかし、そもそも「美しい世界」とは人間の趣向であり、野生で生きてきた猫には『必要のない文化』なのかもしれません。
3.嗅覚「大事な情報源」
猫は聴覚も優れている動物です。犬ほどではありませんが、人間と比較しても数万倍も優れているとされています。だからこそ猫は、飼い主さんのニオイや他人のニオイや他の猫のニオイをかぎ分けることも可能。「ニオイで安全確認」をしているといっても過言ではありません。
そんな嗅覚に長けている猫なので、猫同士の挨拶も鼻で行います。また、おしりのにおいを嗅ぐことで安全確認や会話をしているという説も。なお、生まれたばかりの目の見えない子猫が母猫のお乳を見つけることができるのは「ニオイ」をたどるからです。
猫がニオイを敏感にキャッチすることができるため、イエネコはたくさんのニオイに囲まれて生活していることがうかがえます。人間は気にしないニオイでも、部屋干しの柔軟材やハンドクリームの香り、タバコやコーヒーのニオイなど、もしかしたら猫が「クサい」と嫌がることも多いかもしれませんね。
まとめ
人間は、情報の80%を視覚から入手するといいます。「おいしそうな料理」「素敵なインテリア」「着心地の良さそうな衣類」「良い音が聞こえそう」など、目から見える情報を元に他の五感が内容を想像する流れです。
しかし猫は聴覚が最優先で、プラス嗅覚で事実確認をするといったスタイルです。猫にとって、人間の美人やイケメンよりも「心地よい声」や「穏やかな生活音」の人を好むというようなところでしょうか。
「猫の世界」を知ることは、すなわち猫が幸せに暮らせる条件が見えるということです。しかしそれは、人間の感覚とは少々ズレがあるため、愛猫の立場になって生活環境を確認してみてくださいね。