猫の「しゃっくり」で考えられる原因
「しゃっくり」とは、端的にいうと横隔膜がけいれんを起こすことです。しゃっくりは、横隔膜付近の臓器(胸部・肝臓・胃など)に刺激が加わることで発生します。
猫のしゃっくりの特徴としては、特有の音がないことでしょう。何となくお腹がピクピクと波打つことはあっても、人間のように「ヒックヒック」と声が出ることはほとんどありません。
そもそも、猫がしゃっくりをしてしまう原因とは一体何なのでしょうか。
そこで今回は、猫の「しゃっくり」で考えられる原因を解説いたします。愛猫のしゃっくりが長引く場合は要注意ですので、確認しておきましょう。
1.早食い、食べ過ぎ
1度にガツガツ食べる食べ過ぎや、一気にかき込むような早食いは、胃を急激に拡張させてしまいます。
この衝撃によって横隔膜が刺激されるため、しゃっくりが出やすい状況を作り出してしまうのです。
愛猫に早食いの傾向が見られる場合は、中に突起がある「早食い防止皿」や遊びながら少しずつフードが出てくる知育トイを使ってみてください。しゃっくりの頻度が減らせる他、嘔吐の誘発も予防できるでしょう。
2.呑気症(どんきしょう)
食事や飲水の際に、多くの空気を一緒に飲みこんでしまうことを「呑気症」といいます。慌てて食べる行動でも起こりがちですが、猫の場合は器の高さによる影響もあります。
這いつくばって食べるほどの低い器では、食べにくさや飲み込みにくさが顕著になるため、取り込む空気の量も多くなってしまいます。
警戒せずに飲み食いができる場所を整えるのはもちろんのこと、自然なお座りに近い姿勢で食べられる足付きの器を使用することをおすすめします。
3.激しい運動やストレス
体を大きく動かすような遊びをすると、横隔膜周辺の臓器も一緒に動きます。その刺激によってしゃっくりが出ることがありますが、これ自体は一時的なものなので心配しなくても大丈夫です。
やや注意が必要なのは、ストレスによるしゃっくりです。不安によって呼吸が早まったり胃が収縮したりするなどの間接的な動きによっても、しゃっくりは出てしまいます。
ストレスの原因にもよりますが、すぐに命を脅かすものではありません。とはいえ慢性的なストレスを抱えて良いことはありません。
しゃっくりが頻発しているようであれば、愛猫を取り巻く環境を見つめ直してみてください。
4.病気によるもの
しゃっくりが1日以上続く場合は、単なる横隔膜への刺激ではなく、病気が潜んでいる可能性があります。
- 消化器系(食道炎、胃腸炎、腫瘍など)
- 呼吸器系(肺炎、喉頭炎、喘息など)
- 神経系(脳神経の病気)
「何となく元気がない」「食欲がない」などの症状も目安になるので、合わせて様子を見てください。これらの症状が出ていて、尚且つしゃっくりが止まらない場合は、早めに診察を受けるようにしてください。
まとめ
猫が「しゃっくり」をしている際に、スムーズに止める方法はありません。苦しそうにしていないか、咳や嘔吐の症状が出てこないかなど、そっと見守るようにしてください。
間違っても驚かせる行動は厳禁です。猫は人間よりも感覚が鋭いため、ストレスや恐怖心を煽ることに繋がります。
大抵のしゃっくりは自然と落ち着いて、新たに横隔膜が刺激されるような出来事に遭遇しない限り、その場で止まってしまいます。
しかし、しゃっくりが自然に止まらず続く場合(数時間経っても止まらない、連日続く)という場合は注意が必要です。重大な病気が潜んでいる可能性も疑って、診察を受けるようにしてください。
しゃっくりだと思っていたら肺炎での咳や喘息だった、ということもあるので、呼吸に異常がある場合は長く様子を見ないようにしてください。
尚、受診の際は動画があると便利です。違和感のある行動も含めて愛猫の様子を撮影しておきましょう。
「たかがしゃっくり、されどしゃっくり」です。侮れないものがある分、日頃から愛猫の様子を気にかけてあげると良いですね。