1.不妊手術の未実施
猫の「がん」のうち発症率が高い『乳腺腫瘍』は、特に避妊手術をしなかった猫の発症率が高いことが分かっています。避妊手術にはさまざまな考え方がありますが、適切な時期に行わないことは乳腺腫瘍を発症する要因のひとつになるといえます。
避妊手術をしないことが発症リスクを高めるのは、乳腺腫瘍がホルモンバランスと密接に関わっているとされるためです。卵巣で作られるエストロジェンというホルモンが、乳腺腫瘍の発生をうながしてしまうのです。
乳腺腫瘍は乳腺組織にしこりができて気が付くことが多いですが、恐ろしいことに猫の場合、約80%が悪性だと言われています。さらに他の臓器に転移しやすいがんでもあるため、なるべく予防しておきたいところ。
1歳までに避妊手術を行った場合は発生率が約80~90%も下がるとされるため、予防としては非常に有効な手段です。
2.外飼いなどのずさんな飼育
『扁平上皮がん』も猫がなりやすいがんのひとつですが、その要因にはさまざまなことが指摘されています。
なかでも皮膚に発生する扁平上皮がんは、白系の毛を持つ猫や色素が薄い猫の発症率が高いそう。このことから、紫外線がリスクを高めるのではないかと考えられています。
そもそも人間のがんにおいても、紫外線を浴びすぎるとよくないことは知られています。紫外線が細胞にダメージを与えてがん化するためです。屋外飼育は事故や怪我のリスクが高くなるという理由で推奨されていませんが、がんのリスクもまた高まるといえます。
近年では、タバコの副流煙やノミ取り首輪、食品添加物など化学物質の使用が発生リスクを高めるという報告もあります。
3.老化やストレス
どんながんにおいても老化は大きな発症要因となります。どれだけ健康に気を付けていても、歳を取れば取るほどがんのリスクは高まるわけです。猫ががんになる際の一番の原因と言っていいでしょう。
老化ががんのリスクを高めるのは免疫力が低下することが原因です。歳を取ると免疫細胞の数が減少する上、ひとつひとつの細胞も弱くなります。その結果、若い猫と比べるとがんを発症しやすくなってしまうのです。
また、ストレスもがんの発症リスクを高める要因のひとつ。狭いところに閉じ込めていたり、スキンシップが不足していたりすると、若くても免疫力が低下してしまいます。その他にも、猫エイズの感染で免疫力が低下することもあります。
予防するための心得
定期的な健康診断
猫に変化がないかを観察するのはとても大切なことですが、自宅で気が付けることには限度があります。動物病院で定期的な健康診断をすることで、早期発見につながるでしょう。
検査内容は触診を始め、血液検査やレントゲン、場合によってはエコーなどがあります。10歳までは1年に1回、11歳以降は1年に2回を目安にしてください。
セカンドオピニオンの確保
残念ながら、定期的に病院に行ってもがんが見つけられないこともあります。しかし近頃では動物病院でもセカンドオピニオンを検討する飼い主が珍しくありません。
万が一のために、あらかじめセカンドオピニオンを求める相談先を決めておくのもひとつの手でしょう。
まとめ
猫のがんは死亡率1位と言われるほど身近なものであり、人間と同じように気を付けなければならない疾患のひとつです。
発症する要因はがんの種類によってもさまざまですが、不妊手術をしなかったり、ずさんな飼育をしている方は要注意。愛猫のがん発症リスクを高めてしまっているかもしれません。
確実な予防方法はありませんが、大切な愛猫を守るために、リスクを下げる努力は続けていきましょう。