猫が『トイレを我慢』してしまう5つの原因 見過ごすと病気につながる危険が

猫が『トイレを我慢』してしまう5つの原因 見過ごすと病気につながる危険が

猫は繊細な動物であり、さまざまな理由でトイレに入らないことがあります。しかし、いずれにせよ猫がトイレを我慢して用を足さないのは、非常によくありません。トイレに入らない状態を放置すると、危険な病気にもなりかねないからです。そこで今回は、猫がトイレを我慢してしまう主な原因5つと、見過ごしたときの病気のリスクついて詳しく解説していきます。猫の飼い主さん必見の内容です。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

猫がトイレを我慢してしまう原因5つ

トイレの横でたたずむ猫

1.トイレが汚れている

猫は非常にきれい好きな動物です。そのためトイレが汚れていて嫌なニオイがすると、排泄を我慢してしまうことがあります。

たとえば汚れた砂から発する臭いが気になる・砂の中に以前の排泄物が残っているなど。

このように、人からすればささいな汚れも、猫は許しません。

そのため猫が用を足したら排泄物は速やかに廃棄し、できれば週に1~2回、最低でも月に1回は砂を全て取り替え、トイレ本体の汚れも念入りに落とすなど、常に清潔な状態を維持しましょう。ただし、汚れを落とす際は無香料のものや動物用を使用し、香りが残るような洗剤は使用しないでください。

2.トイレの場所や環境が気に入らない

トイレの場所が騒がしい・人通りが多い・他の猫がいるなど、猫が落ち着いて排泄できないと感じると、トイレを我慢してしまうことがあります。

とくにトイレのすぐ近くに人の出入りするドア・窓がある場合や、洗濯機といった音が出がちな家電の近くは、猫にとって良いトイレ環境とはいえません。

さらに、トイレの砂の種類や深さが気に入らない場合も同様です。

猫には砂の好みがあります。鉱物系砂・紙系砂・木製砂など、さまざまありますが、気に入る砂は猫それぞれです。

またトイレの形状も重要で、たとえばトイレが小さすぎると、猫が体を十分に回転できずに排泄しにくくなったり、逆にトイレが大きすぎると、猫が落ち着いて排泄することができない場合もあります。

また、屋根付きトイレや囲いが高いトイレを嫌がる猫もいます。

このように猫はトイレ設置の場所や環境を細かく気にします。飼い主が人間目線で気づかない点まで気にかけているので、トイレ空間は猫さまファーストを心がけましょう。

3.ストレス

猫はストレスに非常に敏感な動物なため、日々の生活の中でさまざまなストレス要因にさらされると、それが原因でトイレを我慢したり、トイレそのものを避けるようになる傾向もあります。

猫のストレス要因となるのは、たとえば引っ越しや来客、新しいペットの導入、騒音下など。日常のささいなことでも、猫にとっては非常にストレスを感じます。

そのため、猫には日ごろから可能な限りストレスフリーな環境を整えてあげることが大切です。どうしても環境変化が起きる場合は、可能な限りゆっくりと慣らす期間を設けてください。

4.加齢

加齢による身体的な変化が、猫の排泄行動に影響を与える可能性があります。

たとえば、トイレまでの移動が困難になる(関節の痛みや筋力の低下による)ことでトイレを利用しなくなったり、認知症によってトイレの認識が難しくなったり。

このように、加齢による身体的および認知機能の低下は、猫のトイレ行動に大きく影響を与えます。

そのため飼い主はトイレをわかりやすくする、トイレの数を増やす、トイレにスロープをつけるといった「トイレに行きやすくなる工夫」を施してあげることが大切です。

5.病気

なにかしらの病気を患い、トイレすら行けない状況になっているケースも考えられます。たとえば、後述するような泌尿器疾患、関節炎、その他内臓の痛みだったり。

いずれにせよ動けないほどの痛みを生じてトイレに行けないのであれば、早めの処置が必要なことが多いので、動物病院を受診しましょう。

見過ごしたときの病気のリスクは?

診察中の猫

猫がトイレに行かないことを見過ごすと、次のような病気のリスクが生じる可能性が高まります。

尿路閉塞

尿路閉塞は、尿管や尿道が結石やそのほか何かしらの原因でふさがれてしまい、排尿ができなくなる病気です。

水を飲まなくなるような寒い時期に多く、放置すると急性腎不全や尿毒症を患い、命に関わることもあります。

尿結石症

尿結石とは、腎臓や膀胱、尿道のなかに結晶や結石が生じる病気です。先に紹介した尿路閉塞の原因のひとつでもあります。

尿結石の中でも多いのがストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の2種類で、いずれも尿のミネラルが固まって形成され、特にストルバイト結石は尿のpHがアルカリ性になるとできやすくなるといわれます。

原因はさまざまですが、膀胱に尿を溜めがち&飲水量少なめな猫にはよく見られ、高濃度の尿をすることもひとつの原因です。

尿毒症

尿毒症とは、尿と一緒に排出されるはずの有害物質が体にたまってしまう状態で、数日以内に命を落としかねない危険度MAXの病気です。

たとえば猫がトイレを我慢しすぎて、ほかの病気(尿管・尿道閉塞)を生じたりすると、おしっこを出したくても出せない状況になり、これが原因で尿毒症を引き起こすこともあります。

ほかには慢性(急性)腎臓病などで腎臓が機能しなくなることも原因のひとつです。

この病気になると非常に危険な状態なので、トイレにまったく行っていない(粗相もしてない)・トイレには行っているけどおしっこが出てないという症状があれば、早急に獣医師に相談してください。

まとめ

おしっこをする白黒猫

猫がトイレを我慢する原因はさまざまです。しかしそれを見逃してしまうと、症状が進行し、重大な病気に発展する恐れがあります。

そのため飼い主は愛猫の行動の変化に気を配り、我慢の兆候があれば、原因を推測することが大切です。

そして環境の改善や、場合によっては獣医師への相談など、正しい対処を行うことが猫の健康を守る鍵となります。

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