愛猫と一緒にコーヒータイム
中国では近年、消費が拡大するにつれ、犬や猫などのペットを飼う人も増えてきました。このため、「ペットにやさしいカフェ」も全国で営業するようになっています。
浙江省杭州市のYu Miaoさん(30歳)にとって、カフェを選ぶ基準のひとつは「自分の猫を連れて来ることができるかどうか」です。
「杭州にはカフェがたくさんあります。愛猫を連れて出かけることもあるので、一緒に行ける店を選びたいですね」と彼女は話します。
こうした需要が増えるにつれ、「ペットにやさしいカフェ」も増加しました。
杭州の湖浜ビジネス地区にある「ペット同伴可」のカフェには、ペットを連れたお客さんが次々にやって来ます。店内は2つに分かれていて、外側は犬と飼い主のためのスペース、内側は猫のためのエリアになっています。
最大60匹までペットを収容できるといいます。経営者のDuan Muさんによると、「昨年のオープン以来、週末には1日500人を超える来店がある」ほどの人気だそうです。ここで暮らす動物とふれあうことも可能です。
ペット熱の高まりとともに、ペットカフェも増加中
ペットビジネス隆盛の背景には、ペットのためならいくらでもお金を払う「動物好きな人々」が急増してきたことがあります。市場コンサルタント会社「iiMedia Research」によると、2022年の中国国内ペット市場の規模は総額4,936億元(約10兆円)でした。ペットを飼う家庭は年々増えていて、2025年までには8114億元(約16兆円)にも達すると予想されています。
中国で初めて「猫にやさしいカフェ」ができたのは、2011年の広州でのこと。以来、現在までに4000件もの店ができました。
こうしたカフェには2種類あります。1つは店内で犬猫を飼育していて、来店した人々がこうしたペットと遊べるもの。飲食以外に入店料もかかります。もう1つは、ペットを連れて来店できるカフェです。入場料はかかりませんが、店によっては注文金額の下限を設定しているところもあります。
今後のサービス拡大が発展のカギに
大盛況のペットフレンドリーカフェですが、問題もあります。猫や犬がお客さんを噛んだり引っかいたりする事故も少なくないからです。
店内で飼っているペットはすべてワクチン接種を終えていますが、子供がケガをした場合などは、その親から賠償を求められることもあるようです。お互いの議論がかみあわず、エスカレートしてしまう場合もあるといいます。
こうした事故に関連する経費は、カフェの経営を圧迫してしまいます。動物の医療費もばかになりません。また、店内で提供する飲食物の衛生については、通常のカフェよりも注意深く管理する必要もあります。
コラムニストのZhang Shuleさんは、「顧客に信頼してもらうために、安全や衛生管理などにはとくに気を遣う必要がある」と述べています。
「こうしたカフェが将来にわたって成長していくためには、ペットのトリミングなど、さまざまなサービスを付加していく必要があります。とくに若者は、自分にあわせて設定された独自のサービスを求める傾向があります。ペットにやさしいカフェが、今後どのように商品やサービスを改善して提供できるかが、ビジネス発展のための最大のポイントになるでしょう」