中世に大流行した死病が再び?
米国オレゴン州郊外にあるDeschutes郡の保健責任者らは、「住民が重篤な状態になって『腺ペスト』の治療を受けており、飼い猫から感染した可能性が高い」と発表しました。
ペストといえば、1300年代にヨーロッパ全土で大流行し、推定2億人が死亡した恐ろしい疫病です。隔離を逃れた患者や、感染した動物との接触により拡大します。今回のケースは、愛猫との濃厚な接触による感染だったと考えられます。
オレゴン州では8年ぶりの症例になります。同郡の保健官Richard Fawcett医師によると、
患者は現在治療を受けており、病気が広がらないよう適切な措置が取られているということです。
「本人と猫に接触した人たち全員に連絡がとれて、予防薬を手渡しました」と同医師はコメントしています。
ノミやリス、ネズミなどが媒介
ペストの症状は、感染した動物やノミにさらされてから2~8日後に出現します。突然の発熱や吐き気、衰弱、悪寒、筋肉痛、「横痃(おうげん)」と呼ばれる明らかなリンパ節の腫れなどが主な症状です。
診断が遅れると、腺ペストは「敗血症ペスト」や「肺ペスト」に進行することがあります。どちらも治療しなければ死に至る、恐ろしい感染症です。
同郡保健サービスの広報担当者は、「感染者は、幸運にも初期段階で特定されて治療を受けたので、地域社会へのリスクはほとんどありません。本人以外の感染者は出ていません」と話しています。
オレゴン州保健局によると、ペストはまれな病気で、2015年以降は発症例がありません。感染したノミに刺されたり、病気の動物と接触したりすることによって、人や動物に感染します。中央オレゴン州でペストを媒介するのは、主にリスです。ほかにネズミやその他のげっ歯動物も媒介する可能性があります。
一人ひとりに予防策を呼びかける
保健当局が発表した「腺ペストを防ぐためのアドバイス」は次のとおりです。
- げっ歯類やその体についたノミとは接触しない
- 動物がケガをしていたりや死んでいる場合、決してさわらない。ペットも近づけない
- 屋外ではペットをリードでつなぐ
- ペットにはノミ駆除製品を使う
さらに、野生のげっ歯類を家に入れないようにし、建物のまわりに食べ物や薪、その他ネズミなどを引き寄せるものを置かないよう呼びかけています。また、野外でキャンプをする際には、ネズミなどの巣穴や死骸がある場所の近くは避けることをすすめています。
あわせて、ノミが接触しないよう長ズボンをはいてブーツの中に押し込んだり、靴下やズボンの裾に防虫剤を塗るのも効果的だということです。
出典:Pet owner 'most likely' got bubonic plague from their cat, health officials say