1.ヤギミルク
「猫に牛乳を与えるとお腹を壊す」と聞いたことがある人もいるでしょう。
猫の多くが乳糖不耐性といって、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素を十分に持っていません。
乳糖不耐性の猫が乳製品を摂取すると、腸内に消化されない乳糖が残ってしまいます。すると、腸内細菌が乳糖によって発酵してしまうため、膨満感や下痢を引き起こしてしまうのです。
もし、愛猫が牛乳を飲みたがるなら、ヤギミルクの方が安全です。
ヤギミルクも乳糖は含まれていますが、牛乳よりも消化されやすい形です。タンパク質の一種であるカゼインは柔らかく、脂肪球のサイズも牛乳よりもずっと小さいため小腸でなんとか消化が可能なのです。
ただし、まったく無反応とは限りません。個体差があり、過敏症な猫もいるからです。
ヤギミルクを与えるときは、はじめはスプーン1杯くらいを舐めさせて半日ほど反応を見てください。それでも下痢をするようなら、避けたほうがいいでしょう。
2.麦茶
麦茶は、猫にとっても安全な飲み物のひとつです。
コーヒーや茶葉を使用しているお茶類(緑茶や紅茶など)には、カフェインが含まれています。猫がカフェインを摂取すると、中枢神経に作用して中毒を引き起こすことがあります。
一方、麦茶は大麦の種を焙煎して作られるため、カフェインは含まれていません。そのため、麦茶は、ほかの飲み物と比較しても猫には安全な飲み物です。
ただし、麦茶にはミネラルも含まれています。麦茶の濃度にもよりますが、通常の濃さであれば、
麦茶100mlあたりに含まれる主なミネラルは次の通りです。
- カルシウム2mg
- カリウム6mg
- リン1mg
これらは猫が1日に必要なミネラルの1/4から1/5程度です。
通常、猫が100mlもの麦茶を、毎日ガブガブ飲むことは考えられませんので、無理に与えるようなことをしなければ心配いらないでしょう。
ただ基本的に猫に麦茶を与える必要はまったくありません。
3.水
猫に飲ませても安全な飲み物は、やはり「水」でしょう。
なかでも日本の水道水は、世界の中でトップクラスの安全性があるといわれています。
日本の水道水は、浄水場で3つの工程(沈殿、ろ過、消毒)を経て浄化されているので、蛇口から出る時点で直接飲むことができます。
しかし、水道から出したばかりは、カルキ臭がするので猫が好むとは限りません。ニオイが気になるときは、湯冷ましにしてもよいでしょう。
ただし、沸騰させて塩素を取り除いてしまうと雑菌が繁殖しやすくなるため、飲み水としてそのまま置いておくことは避けてください。
また、市販されている水の中から良し悪しを決める場合は、「軟水」を選ぶことがポイントです。
日本で採取される水は軟水が多く、市販の水にも軟水が多く売られています。軟水は、ミネラル含有量が少ないため飲みやすく猫の身体にも安全です。
一方、外国産に見られるような硬水は、ミネラル分が多く、猫の腎臓に負担をかける可能性があります。もちろん、一度飲むくらいでは支障ありませんが、継続的に摂取しないよう考える必要があります。
水の質や成分を考慮し、猫の健康のためにも適切な飲み物を選んであげてください。
まとめ
今回は飲み物についてお話ししました。食べ物と同様に、猫が飲んでも安全な飲み物を知っておくことも大切ですね。
今回、紹介した麦茶やヤギミルクは、猫が飲んでも安全な飲み物ですが、やはりふだんから与えるなら「水」がいちばん安心でしょう。
日本の場合は、浄水管理が行き届いているので、猫にも水道水を飲ませられます。
もし、自宅でウォーターサーバーやペットボトルで水を備えている場合、軟水であれば猫に適していますのでそのまま与えて大丈夫です。
猫はなかなか水分を摂りたがらない動物なので、猫の健康や体質などを踏まえて、水分摂取ができれば理想的です。