1.異常なまでの警戒心
気性が荒い猫の特徴のひとつは、異常なまでの警戒心です。気が荒い猫ほど、すぐに身構えるような姿勢をとりがちです。
猫の性格は、親猫からの遺伝子と生育環境で形成されます。
警戒心が強い猫から生まれた子猫は同じように強い警戒心を持ち、もとからの性格に加えて過去の経験と生育環境から、さらに警戒心が身についてしまうことがあります。
たとえば、野良猫の子などは、母猫しか頼る存在がありません。生存するためには、母猫がエサを探しに行っているときも、人間やほかの動物から自ら身を守る必要があるためです。
また、純血種では、ベンガルやソマリ、アビシニアンなどは気性が荒いといわれます。
本来は猫の種類(形状の違い)と気性は無関係ですが、純血種は親猫となるオス・メスが固定化されているケースがあり、遺伝的要因で神経質な面を持ち合わせている可能性が考えられます。
2.社交関係がせまい
気性が荒い猫は、同居猫や飼い主家族が複数いても、社交関係が狭くなる傾向があります。ふだんは特定の相手か、ひとりで過ごすことが多いでしょう。
野生の猫は単独で暮らす動物なので、ほかの猫や人間とのベタベタした関わりをあまり必要としません。しかし、人に飼われている猫は、同居猫や飼い主と頻繁に交流を持つのが一般的です。
一方、気性の荒い猫は、本来の自然界にいる野生猫のように、自分の領域やプライバシーを重視して、ほかの個体との接触を避けたがります。
そのため、多頭飼いの中でも、常に1匹で過ごすか、気の合う1匹2匹にしか近寄らないということも多くあるでしょう。
3.ちょっとのことで過剰に興奮する
気性が荒い猫は興奮しやすく、ちょっとのことでも過剰に反応することがあります。
気性が荒い性格は、ただ怒りっぽいわけではありません。繊細な性格なため、ささいなことに過剰に興奮してしまうのです。
繊細な猫は、自己保護本能が強く、周囲の変化に対するストレスに敏感です。そのため、些細な刺激や環境の変化に対して過剰に反応して、警戒心や攻撃性を表してしまうのです。
たとえば、食事中に小さな物音がしただけで食べるのをやめてしまったり、動く物陰を見ただけで逃げてしまったりすることもあります。
特に危険がなくても興奮しはじめることもあるでしょう。繊細が故に、過度な不安や不信感が積み重なって、過剰反応となってしまうのです。
4.何もない場面で威嚇する攻撃的な態度
気性が荒い猫が、何もしていないのに威嚇してくるなど攻撃的な態度をとるのは、他者との接触を回避するための予防ともいえます。
猫の威嚇は排他的な意味を持つ行動で、猫同士のコミュニケーションでは「警告」を表しています。実際にケンカになって怪我することまでは望んではいないのです。
また、気性が荒い猫は、自分の場所や物を守りたいために威嚇することがあります。
たとえば、猫のお気に入りの毛布や食後の食器を洗おうと手に取っただけで、威嚇することがあります。自分の領域を乱されて、安全を脅かされると感じてしまうのかもしれません。
気性が荒い猫とおだやかに暮らすために
気性が荒い猫であっても、ビクビクしながら暮らす必要はありません。
猫の警戒心を解きほぐし、おだやかに暮らすために気を付けたいポイントを紹介します。
- 猫専用部屋や仕切りをつけた猫用スペースを設ける
- 猫が近づいてくるまでこちら側からは触ろうとしない
- 遊びのときには長い棒をつかった猫じゃらしで
- 毎日のお世話(食事トイレ掃除)は同じ時間にする
これらはすべて猫の主体性と空間を最優先にした方法です。
猫専用のスペースを作っても、閉じ込める必要はありません。猫が誰にも邪魔されない場所に自由に入れることが必要です。
また、お世話を同じ時間にするのは、イレギュラーな動きで不安にさせないための配慮です。猫は時間がわからなくても、タイミングは理解できます。
気性が荒い猫ほど繊細な一面を持っていますので、安心して過ごせる環境を整えて、できるだけ刺激を少なくすればおだやかに暮らせるようになるでしょう。
まとめ
一口に気性が荒いといっても、猫には個体差があり、行動パターンもそれぞれ異なります。今回は、その中でも共通してみられる特徴を紹介しました。
正直なところ、猫が攻撃的なケースだと、飼い主のストレスになってしまうこともあるかもしれません。
しかし、猫の行動の背後には必ず何か理由がありますから、猫の心を理解してどのようなときに行動を示すかを把握するように心掛けてみてください。
最初はむずかしいかも知れませんが、猫の行動パターンを把握して刺激を減らしてあげると、猫の性格も次第に落ち着いてくるはずです。